日記・コラム・つぶやき

2026年2月 1日 (日)

『江戸の刑事司法』を読む

昨年末に読んだのは、『民法のすすめ』
明治政府は、維新の直後から30ヶ国の法の体系を調査。
最終的にドイツ・フランスの法(大陸法)を参考に、日本の法を整備したことを その本で読んだ。

本書に書かれている〝刑事司法〟とは、
 犯罪行為に対して国家が刑罰権を
 行使するための諸制度とその運用
のこと。
ただし、時代は江戸。

Re_20260131184001
こんな飯屋で読み始め。

副題は、
 「御仕置例類集」を読みとく

『御仕置例類集(おしおきれいるいしゅう 』とは、刑事裁判の記録集のようなもの。
その〝御仕置(刑罰)〟は、現在の「刑法」に相当する『公事方御定書(くじかたおさだめがき)』によって決められる。 
『公事方御定書』は8代将軍吉宗の指示で作られた法典。
本書には だから、18世紀の中頃から幕府が倒れるまでの間の刑事事件が、どのように裁かれたかが書かれている。

江戸時代、取り調べ(警察・検察)と刑を下す(裁判所)職は一緒。
だが、我々(私だけかもしれない)がイメージする、
 事実の推認の いい加減さ
 思いつきの刑罰
はない。 
『公事方御定書』及び『御仕置例類集』に矛盾しない〝御仕置〟を出すために、奉行らが複数で審議する。
それを幕府の最高役職者の老中に決裁を取る。
時には、審議のやり直しを命ぜられることもある。

本夕、読了。

現在でも、計画性のある犯罪は罪が重くなる。
江戸も同じ。
故意犯は過失とか出来心より罪が重い。
よって、放火は失火より罪が重い。

現在の刑法では、
 心神喪失者の行為は、罰しない
 心神耗弱者の行為は、その刑を減刑する
江戸も同じ。
当時のこと、〝心神喪失〟とか〝心神耗弱 〟は、〝物の怪憑き(もののけつき)〟と表現されている。
その〝物の怪憑き〟の行為は減刑される。

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2026年1月31日 (土)

『検察審査会』を読む

TVドラマの『ドクターX  外科医・大門未知子』。
フリーランスの外科医が主人公という設定は、ブラック・ジャックと同じ。
大門未知子の決めゼリフは、
 私 失敗しないので

大門未知子を演じるのは、米倉涼子。
その米倉涼子は、今月の20日、
 麻薬取締法違反
 医薬品医療機器法違反
の2つの容疑で、東京地方検察庁(東京地検)に書類送検されていた。
が、東京地検は不起訴と発表。(注)
決定は、昨日30日。
なお、東京地検はその理由を明らかにせず。

以上は、今日の朝刊などから。

Re_20260109101201
こんな飯屋で読み始め。

’09(平成21)年から始まったのは裁判員制度。
市民感覚を裁判に反映させることが目的。

検察審査会の設立は、もっと はやい。
連合国占領下の1948(昭和23)年に、
 戦前に存在した特別高等警察(特高:思想警察)への反省
 起訴の権限を検察官が独占していることに制限をかけること
を目的に制度化されている。
その主導は、GHQ( 連合国軍最高司令官総司令部:事実上 米国 )。

60年たって、検察審査会の手直し。
そして、改正検察審査会が裁判員制度と同時期に施行された。
改正された検察審議会の目玉は、強制起訴権限が付与されたこと。

その強制起訴の具体例の解説が、本書のキモ。

本夕、読了。

著者は、
 米国の大学で教える米国人
 米国の大学で教える日本人
 日本の大学で教える日本人
の3人の社会学者。
筆頭の米国人の書いた草稿を、3人で議論をすすめて修整、成書としている。
著者らは、多くの人に協力・助言を得ている。
助言した者の中には、元検察官もいる。
そのおかげで、本書は良いものになったと謝辞に書く。
ただし、元検察官らは、本書の全てに賛意を示しているわけではないとも。

(注)
起訴と起訴猶予は違う。
どちらも前科は付かないが、
 不起訴はチャラ
 起訴猶予は警察・検察に前歴(記録)が残る

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2026年1月25日 (日)

『世にもあいまいなことばの秘密』を読む

著者は、言語学者。
自然言語(ヒトの日常語)をコンピュータに理解させる研究をしている。

もう3、4年になるか、NHKでは、ニュースの一部をAIアナウンサーに読ませている。
しかし、私のバカ耳でも、ヒトが読んでないことは すぐ分かる。

Re_20260124220901
こんな喫茶店で読み始め。

著者が、AIの研究会で発表した時のことが書かれている。
 「機械学習を利用した」とおっしゃいましたが、
 その「機械学習」ってなんですか?
との質問に、著者は、
 機械学習の定義
を説明しだしたところ、質問者はそれを遮って、
 いや、そんなことは分かっている。
 具体的にどんな手法を使ったのか教えてください
と。
そもそも、AIの研究会に出席しているヒトが機械学習の〝定義〟を知らないはずがない。
著者は恥ずかしさでいっぱいになったと書く。

本夕、読了。

東証一部(現 東証プライム)上場企業といえば、日本を代表する企業群。
その中の、某メーカーの某事業所内で見た掲示。

 禁制事項
とあって、
 ・
保護カバーを外すな
などと五つばかり。

〝外してはいけない〟ことを〝禁じる〟のだから、保護カバーを外して作業しなさい。
と、言っていることになる。
 禁制事項
ではなく、
 遵守事項
あるいは、
 順守事項
としなくてはならないはず。

否定を言うのは難しい。

 保護メガネをすること
なら、どうか。
 禁制事項
とすることは絶対にない。
すなおに、
 遵守事項
とするだろう。

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2026年1月24日 (土)

『定本 日本マンガ事件史』を読む

youtubeなどでは、AIによる自動検閲が行われ、著作権保護期間にある楽曲や絵画、ときには裸婦画・裸婦像などにも配信規制がかかる(ことがある)。
復刻本や評価が芸術作品と定まっている小説・マンガなどには、最終ページに、
 現在においては不適切とされる表現がありますが、
 原作執筆時の時代背景を考え、原文のままとして
 います。
と、書かれてあったりする。

てな、〝表現の自由〟が どうだとかなんだとかを話すのは拙ブログの芸風ではない。
よって、ンな話はしない。

Re_20260111171101
こんな喫茶店で読み始め。

週刊少年マンガ誌の吹き出し(セリフ)。
サンデー(小学館)だけが、句読点(   、  。 )があるというのは有名。

ところで、'00年に読売、翌'01年に朝日・毎日が活字を大きくした。
その分、紙数を増やしたわけではないので、内容が薄くなったということ。

それより20年前の、1981年。
日本消費者連盟が、マンガ単行本(B6版:コミックサイズ)の吹き出し文字に関し、大手出版社に、
 文字を大きくすること
 印刷を鮮明にすること
を要求した。
理由は、子供の視力に悪影響を及ぼすから。

週刊少年マンガ誌はB5版。
それを面積で半分のB6のコミックサイズに落とすにあたって、吹き出し文字を小さくしないで という要望に、出版社とマンガ家はどう対応したか。

本夕、読了。

各社とも日本消費者連盟の要求を受け入れ
ただし、法の不遡及(ほうのふそきゅう)じゃないけれど、既刊本には手をつけない、つけられない、と。

集英社のみが、既刊本にも手をつけた。
当時、ジャンプ(集英社)連載中の『Dr.スランプ』は、コミック版が すでに5巻出版されていた。
そして、その5巻にだけ、吹き出し文字を大きくして再版した。

本著者は、
 これはマンガ史において重大な事件である
と書く。

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2026年1月18日 (日)

『脳と免疫の謎』を読む

脳を作っている細胞は、
 ニューロン(神経細胞)
 グリア細胞(神経膠細胞:しんけいこうさいぼう)

グリア細胞は電気信号を出さない。
ニューロンだけが電気信号を発生し、シナプス(接合部:信号の受け渡し部)を介して作る回路を通して情報を伝える。
 ニューロン 1千
 シナプス  1千
学習や記憶が進むとシナプスの伝達効率が強化される。
これを模しているのがAI。
と、本書から。

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こんな喫茶店で読み始め。

脳は体積の、
 1割がニューロン
 9割がグリア細胞
で、グリア細胞は、ニューロンの隙間を埋めるだけだと考えられていた。

だからなのか、ヒトは脳の1割しか使っていないと どこかで読んだか聞いたかしたような。
でも、それは違った。

本著者は、グリア細胞の研究者。

最近の研究によると、ニューロンとグリア細胞は ほぼ1:1。
で、夜 寝ている時も含め、ニューロンもグリア細胞も常時稼動している。

本夕、読了。

脳への有害物質の侵入を防ぐ仕組みが血液脳関門。(注)
似たような仕組みが腸にもある(腸管バリア) 。
本書では、疲労感や心身不調に腸も関係しているらしい(腸脳相関)ことにまで話が広がる。

と、まァ、本書を読みこなしたフリをしてキーボードを叩いてきたが、本著者が言うには、本書の半分は免疫学と脳科学の基礎のおさらい。
〝基礎のおさらい〟というが、それ自体 予備知識なしには読み進められない。
貼付した付箋紙、50枚超。
wiki先生に教えを乞うこと、これまた50回超(^^;

本書巻末には、「もっと深く知りたい人向けに」と30冊ほどのブックガイド。
いや いや いや。
〝もっと深く知りたい〟は辞退(^^;

(注)
脳へ、グルコース(ブドウ糖)などの必要物質を血液中から選別供給し、脳内で産生した不要物質を血液中に排出するフィルター機能。 
脳にとって必要物質なのか どうなのか、ニコチンやカフェインは血液脳関門を通過する。
血液脳関門(だけではないけれど)の仕組みは よく分かっていない。

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2026年1月17日 (土)

『紙の動物園』を読む

著者は、チャイニーズアメリカンのケン・リュウ(Ken Liu 劉 宇昆:1976年ー) 。
両親は中国人、本人も中国生まれ。
11歳で一家で米国に移住後は、米国で教育を受ける。
大学で英文学とコンピュータ・サイエンスを同時に学び、のち、法律を学ぶ。
いずれの分野もプロ。
職歴は、
 マイクロソフト社 プログラマー
 法学博士 弁護士
 文筆家
 中国語から英語への翻訳家

Re_20260117143101
こんな喫茶店で読み始め。

収められているのは、
 紙の動物園
 月へ
 結縄
 太平洋横断海底トンネル小史
 心智五行
 愛のアルゴリズム
 文字占い師
の7篇。

著者は米国のSF・ファンタジー文学に与えられる文学賞の受賞者。
SF作家とみなされている人だが、この人の教育歴・職歴と、本書内の作品のストーリー・文章に重なるところは少しもない。
しかし、出自がアジア人(モンゴロイド)。
米国で生活するモンゴロイドのツラさが滲む。

本夕、読了。

本書は英語で書かれたものを日本人が日本語に翻訳したもの。
翻訳者自身も作家なので、いわゆる翻訳臭さのない、引っ掛かりのない滑らかな日本語に訳されている。
その翻訳がウマいせいだろう、『太平洋横断海底トンネル小史』や『文字占い師』などは、読者に日本人だけを想定しているかのよう。
〝読者に日本人だけを想定しているかのよう〟ではなく、〝読者に日本人だけを想定している〟のだと思う。

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2026年1月12日 (月)

『気づきの写真術』を読む

1995年公開の映画『マディソン郡の橋』の舞台は1965年。
主演のクリント・イーストウッドが持つのが、モータードライブ装着のニコンF。
ニコンのFシリーズ初号機の発売は1959年だった。

Re_20260107212701
こんな喫茶店で読み始め。

本著者は大学で写真技術を修め、文藝春秋社で写真部長を勤めたヒト。
入社したのが1958年 で、1年間は自前のカメラでの撮影業務。
翌1959年 、著者は文藝春秋社から、レンジファインダーのニコンSPと発売直後のニコンFを貸与される


オリンピックスタジアムでカメラを構えたこともある。
女優の横顔を撮ったこともある。

本夕、読了。

著者は本書の最後に書く。
 カメラの発達で、プロの企業秘密は
 なくなった。
     < 中 略 >
 いちばん大切なのは、カメラを持っ
 ている人の心だ。

実に平凡なシメだ。
しかし、こんな平凡なフレーズを言えるのは プロゆえだろう。

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2026年1月11日 (日)

『他者の靴を履く』を読む

著者は、英国在住の日本人。
書かれているのは、英国内の新型コロナ感染者が まだ1桁だった頃から、
WHOが緊急事態宣言を終了した直後くらいまでに著者が考えたこと。

英国の中学校に通う著者の息子が、〝ライフ・スキルズ〟という科目のテストで出題された、
 エンパシー(empathy)とは何か
という問いに、
 To put yourself in someone's shoes
 誰かの靴を履いてみること
と答えたということから、話が始まる。

英英辞典で、  empathy  を引くと、
 understand another person's feelings, experience, etc
との記述。
 put yourself in someone's shoes
で成句検索すると、
 to be in, or imagine that you are in, another person's situation,
 especially when it is an unpleasant or difficult one

Photo_20260110164001 
こんな飯屋で読み始め。

本書の副題は、
 『アナーキック・エンパシーのすすめ』

辞書で調べたように、
 エンパシー(empathy)
に、暗い意味はない。
が、
 他者の靴を履く(to put yourself in someone's shoes)
には、
 unpleasant と difficult
があって、〝他者〟の置かれている立場には つらさ がある。

副題の〝アナーキック(anarchic:支配されることの拒否)〟は 強い。
著者は、サッチャーやニーチェや金子文子など、日米欧20人以上の人物の言動や著書を使って、アナーキック・エンパシーのすすめを説く。

本夕、読了。

頭のいいヒト。
このヒトなら、〝エンパシー〟などという抽象語だけでなく、例えば、
 ピーマン
 傘
 オレンジジュース
なんて単語をテーマに、それぞれ300ページの本を書けるに違いない。

ところで、'05年公開のハリウッド映画 『イン・ハー・シューズ』(In Her Shoes)。
題名は、 彼女の靴を履く(to put yourself in her shoes) に似ているが・・ ・
スクリーンに映されるのは、自分にピッタリの靴(人生)を見つける話。

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2026年1月10日 (土)

『マラソンランナー』を読む

年頭2日・3日は、箱根駅伝。
初日最終区の5区20.8キロは山登り区間。
国道1号線(東海道)の箱根国道と名付けられた部分で、16キロ登って、3キロ下って、ラスト2キロの平坦路を走り抜けて往路が終わる。
ここの登り斜度は日勝峠と同じ。

5区の従来最短記録は1時間09分11秒。
今回のレースの記録は1時間07分16秒。
と、2分近く縮める新記録。
この記録を短縮してゆく過程は大変に面白かった。
新記録走者は、今後 マラソンランナーを目指すという。

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こんな喫茶店で読み始め。

本書はマラソンランナーのエピソード集。
書かれている多くは、著者自身がランナーに直接取材して得たもの。
ランナーは、
 金栗四三
 孫基禎
 田中茂樹
 君原健二
 瀬古利彦
 谷口浩美
 有森裕子
 高橋尚子

瀬古が言うには、
 飲み物と食べ物さえ補給されれば いくらでも走っていられる
とのこと。

本夕、読了。

短距離走  100メートル 10秒  時速36キロ
マラソン  42キロ    2時間  時速21キロ
以下、エイっヤっの概算。
マラソンは短距離走の半分の速さ。
運動エネルギーは速度の2乗に比例するから、維持時間・距離に4倍くらいの差が出る理屈。
が、ヒトの生理の不思議さ。
ヒトは走る速さを半分にすれば、その持続時間・距離を400倍に伸ばせる。
有酸素運動の粘り。

1時間07分16秒は1時間09分11秒に対して、3%短縮したに過ぎない。
が、そのために増加した走行エネルギーは6%になる。

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2026年1月 2日 (金)

『重力のからくり』を読む

以前、『重力とは何か』を読んで 拙ブログの記事にしている。
が、上記 記事を含め、私は重力が〝何か〟、重力の〝からくり〟をコレッポッチも理解できていない。

以下、情けないが書き写しばかり(^^;

Re_20251219213601
こんな喫茶店で読み始め。

時空の変動(重力波)は光速で伝わる。
その観測に成功したのは、2016年。
翌年には、ノーベル物理学賞が与えられている。
ただし、その授与理由は、
 LIGO検出器および重力波の観測への決定的な貢献(注)
と、重力波の存在の証明についてではない。
その存在の理論的証明自体は、1916年、アインシュタインによってなされている。

2016年に観測に成功した重力波は13億年前に発生したもの。
重力の発生源は〝質量〟。

本夕、読了。

宇宙誕生(138億年前らしい)直後。
直後とは、ビッグバン以前の〝質量〟が存在する前のこと。
ここで、あれこれ面倒くさい話は、アッチに置いといて・・・
ンな時期でも重力波は発生する。
それが原始重力波。

ここまでSFではない。
原始重力波の検出を目的に、2032年度内の観測衛星の打ち上げが日本でも計画が進められているようだ。

(注)
LIGO(ライゴ  Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory レーザー干渉計重力波観測所 )。
米国の施設。

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