『植物誌』を読む
著者は、戦前の内務省に入省した官僚。
戦後は、法制局(現 内閣法制局)長官を経て、1964年から長く人事院総裁に就いたヒト。
法制の論文を書き、専門書も何冊か出した優秀な役人だったが、1974年、人事院総裁の職に就いたまま逝去。
享年70。
資料によっては、上記経歴と並べて
植物研究家
植物画家
随筆家
であることも紹介している。
逝去後も、新たな画集や画文集が出版されているほど。
著者の、
植物研究家
植物画家
随筆家
の部分の具現化が本書。
こんな喫茶店で読み始め。
1966年刊行されたものの復刊。
表紙絵も著者によるもので、クロッカス。
帯で隠れた部分には、球根も根も装飾書体で記された学名の Crochs vernus Wulf も。
本書には、100余種の草木が見開きの
左ページにその絵と学名
右ページにその草木に関わるエッセー
が書かれている。
それらに希少種はない。
書かれているのは、著者が、自宅の庭で見たもの、出張先で見たもの、東京都内・郊外で見たもの、園芸店で買い求めたもの。
フキやパンジーやニリンソウやエンレイソウなど、私も見知っているものばかり。
本夕、読了。
著者の教養は豊か。
都内の公園のベンチのことから、日本文学、西洋文学、中国古典、絵画。
また、音楽の素養もあって、バイオリンのウデがあり、楽譜も読める。
そんな教養に裏打ちされた、平易で静かで、引っかかるところが1行もない文章が気持ちいい。
読了は、トールサイズのコーヒーを飲み終えるのと同時。
ところで、本書にあげられているものに
希少種はない
と、上で書いた。
が、植物研究家としての知識も確か。
採取した植物標本には新種もいくつかあるそう。
コメント