『国鉄』を読む
義務教育で、〝三公社五現業〟を教えていた時期がある。
三公社とは、
国鉄
専売
電電
五現業とは、
郵便
林野
印刷
造幣
アルコール専売
これら八つのどれを取り上げても、その創業の理念と歴史は大変に面白い。
公社としての〝国鉄〟の発足は、1949年6月。
それが〝JR〟となったのが、1987年4月。
つまり、公社としての歴史より分割民営化後の歴史のほうが長くなる節目に今いる ということになる。
著者は、機械工学科出身のエンジニアとして鉄道マン人生をスタート、’87年分社民営化で発足したJR九州の初代社長として経営にウデをふるったヒト。
こんな喫茶店で読み始め。
副題に、
「日本最大の企業」の栄光と崩壊
と あるように、企業規模のワン・ツー・スリーは長いこと国鉄・電電・東電だった。
そのナンバーワン企業は、8時15分に被爆した広島において、正午過ぎには列車を走らせるほどの強靭な体力を持っていた。
また、国鉄総裁の待遇は国務大臣と同等で、ある総裁は、国会答弁で、
「人命を預かる鉄道員が たばこ巻の専売と同じ給料なのはおかしい」
と述べるほどの高いプライドを持っていた。
が、’64年度に単年度赤字を出した国鉄は、その後23年間赤字額を積み上げ続ける。
本夕、読了。
JR北海道・四国・九州を三島(さんとう)会社と呼び、民営化スタート時点から、経営安定のための基金が用意されていた。
本著者が社長・会長として経営に当たったJR九州は、鉄道単独では赤字だった。
が、黒字事業を開拓することで上場を果たし、既に基金に頼っていない。
現在、JR北海道は札幌圏内でさえ鉄道単独では赤字。
北海道新幹線の単年度赤字額は100億。
著者は、そのJR北海道に四つの提案をする。
その提案に、廃線はない。
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