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2024年7月 6日 (土)

『旅をする木』を読む

ロシア・カムチャツカ半島の最南端にあるのがクリル湖。
面積は支笏湖とほぼ同じ。
この湖からオホーツク海に注ぐ川をサケが遡上する。
カムチャッカのヒグマは そのサケを食う。

誰が教えたのか、
星野自身が考えたことなのか、
「遡上してくるサケを狙っているので、この時期のヒグマはヒトを襲わない」

と、クリル湖畔に設営したテントで一人寝したのが本著者の星野道夫。

しかし、ヒグマが何を食おうとヒグマの気分。
星野道夫はテントを壊され、シュラフを裂かれ、ヒグマに食われる。
'96年のこと。
星野、43歳。

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こんな喫茶店で読み始め。

北海道に憧れ、やがてアラスカに憧れ。
憧れは、現実に。
アラスカに土地を買い、家を建て、その地に妻をむかえ、子を育てる。
写真を撮り、文章を書き、本を作り、TV番組を企画し、世界中を旅する。

それを33編のエッセーに。

本夕、読了。

神田の洋書専門の古本屋で、アラスカの写真集を手に入れる。
その写真集に載っていた北極圏内の村で、19歳の彼は3ヶ月暮らす。
白夜の地で、クマを狩り、アザラシを狩り、トナカイを狩り・・・

14年後、ある偶然から、彼はその写真家と会う。
「そうか、私の写真集が君の人生を変えてしまったんだね・・・
 で、後悔しているかい?」

星野は こう書く。
 人生はからくりに満ちている。
 無数の人々とすれ違いながら、私たちは
 出会うことがない。
 その根源的な悲しみは、言いかえれば、
 人と人が出会う限りない不思議さに通じ
 ている。

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