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2024年7月

2024年7月28日 (日)

『日本FOOD紀』を読む

〝FOOD〟ではなく〝FOOD〟。

本書は、日本製粉・ヤクルト・ロッテの協賛・協力で作られ、全国の小・中学校に寄贈されたようだ。
ではあるが、カタい教育書ではない。
内容は、石器時代から現代に至るまで、日本人は何を食べてきたか。
特に、戦争前後から今に至る〝食〟と〝社会〟に多くのページが割かれている。

ウラ オモテにギッシリと書き込まれたA1サイズの年表が付録。
この年表が充実していて、これを眺めているだけで、ハラもアタマもイッパイになる情報量。

児童・生徒よりも、アタマが白くなり始めた大人が読むにふさわしい(と思う)。

Food
こんな喫茶店で読み始め。
カップは Royal Albert の bone china。

本書、1995年のページでは、マクドナルドのハンバーガーを話題にしている。
 この年は、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件が起きている。
 食 に関しては、消費期限もしくは賞味期限の表示が義務付けられた年。
 円高、デフレ経済の真っただ中。

今日現在、マックのハンバーガ―は1個 170円。
1995年。
当時は210円だったのを130円に値下げしている。

本夕、読了。

マックのハンバーガ―の価格変動の振れ幅は大きい。
2000年は、平日半額で65円。
2002年には、80円に上げたところ売り上げ激減。
2ヶ月後に59円としている。

以下は、数字を並べただけ。
マックの店舗数の一番多い国は、もちろん米国で14000店強。
次が日本で3000店弱。
三番目が中国で2400店弱。

ちなみに、日本におけるケンタの店舗数は1200店弱。
中国では、マックより多い5000店を超える。

ウソかホントか、マックで働いた経験のある米国人は、人口の10パーセントを超えるらしい。

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2024年7月27日 (土)

『国鉄』を読む

義務教育で、〝三公社五現業〟を教えていた時期がある。
三公社とは、
 国鉄
 専売
 電電
五現業とは、
 郵便
 林野
 印刷
 造幣
 アルコール専売
これら八つのどれを取り上げても、その創業の理念と歴史は大変に面白い。

公社としての〝国鉄〟の発足は、1949年6月。
それが〝JR〟となったのが、1987年4月。
つまり、公社としての歴史より分割民営化後の歴史のほうが長くなる節目に今いる ということになる。

著者は、機械工学科出身のエンジニアとして鉄道マン人生をスタート、’87年分社民営化で発足したJR九州の初代社長として経営にウデをふるったヒト。

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こんな喫茶店で読み始め。

副題に、
 「日本最大の企業」の栄光と崩壊
と あるように、企業規模のワン・ツー・スリーは長いこと国鉄・電電・東電だった。
そのナンバーワン企業は、8時15分に被爆した広島において、正午過ぎには列車を走らせるほどの強靭な体力を持っていた。
また、国鉄総裁の待遇は国務大臣と同等で、ある総裁は、国会答弁で、
 「人命を預かる鉄道員が たばこ巻の専売と同じ給料なのはおかしい」
と述べるほどの高いプライドを持っていた。

が、’64年度に単年度赤字を出した国鉄は、その後23年間赤字額を積み上げ続ける。

本夕、読了。

JR北海道・四国・九州を三島(さんとう)会社と呼び、民営化スタート時点から、経営安定のための基金が用意されていた。
本著者が社長・会長として経営に当たったJR九州は、鉄道単独では赤字だった。
が、黒字事業を開拓することで上場を果たし、既に基金に頼っていない。

現在、JR北海道は札幌圏内でさえ鉄道単独では赤字。
北海道新幹線の単年度赤字額は100億。
著者は、そのJR北海道に四つの提案をする。
その提案に、廃線はない。

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2024年7月21日 (日)

『寅さんの列車旅』を読む

渥美清逝去後に作られた作品も含め、『男はつらいよ』シリーズは全50作。
その全てを観ている。
 筋書きはワンパターン
 ロケ地の観光協会の全面協力体制
 偶然シーンの頻出
 登場人物は全員 お人好し
それが、いいわけだ。

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こんな喫茶店で読み始め。

本書を作ったのは、奇数月発行の隔月刊誌『旅と鉄道』の編集部。
なので、副題は、
 『映画『男はつらいよ』の鉄道シーンを紐解く』

寅さんが柴から旅に出る。
京成電鉄の柴(又の中に〝・〟がある)駅から。
布市布院町にあっても、布院駅と書くが如し

本夕、読了。

米国々旗の星の数は50。
広い米国は50州。

狭い日本、1都1道2府43県で47。
富山県と高知県は、とうとう『男はつらいよ』のロケ地とはならなかった。

’79年封切りの『男はつらいよ 翔んでる寅次郎』。
白老町虎杖浜の太平洋側の丘にある虎杖浜神社の境内で、ネクタイを啖呵売(たんかばい)するのは寅さん。
マドンナは桃井かおり。

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2024年7月20日 (土)

『日本人が言えそうで言えない英語表現650』を読む

最近は 見なくなったが、
 『法定速度順守車 お先にどうぞ』
なかには、
 『全長18m 死ぬ気で追越せ!』
と表示されたステッカーを貼ったトレーラーが走っていた。

先日の山歩きの登りで。
英語を話す脚の速い二人パーティが私に追い付いた。
で、私、
  "After you."
返ってきたのは、
 「ドウモアリガトウ」

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こんな喫茶店で読み始め。

山の原則は、登り優先。
狭い山道では、斜面の上にいるヒトが、登るヒトに道をゆずる。
原則だから、例外多々。
私なんかは、
 「先に下りて下さい」
で、登りの足を休めるわけだ(^^;

ところで、
 「先に下りて下さい」
の時も、英語では、
  "After you."
なのだろうか。

本夕、読了。

〝お先にどうぞ〟があるなら、〝お先に失礼〟もあってしかるべき。
だが、英米国人は、〝お先に失礼〟という発想はしないようだ。
なので、本書に、
  "Before you."
などという表現は載っていない。

’16年公開の映画『世界一キライなあなたに』の原題は、〝Me Before You〟。
〝Me Before You〟は、〝あなたに会う前の私〟の意。

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2024年7月16日 (火)

『黒部源流山小屋暮らし』を読む

北海道の山には、管理者(小屋番)が常在する山小屋(避難小屋)は ごく少数。
数えるには片手もいらない。
食事を提供する小屋は ひとつもないし、里から水を背負っていかねばならない小屋もある。
北海道には、高い山がないし、営業を成り立たせるほどヒトの入る山がないからだろう。

本州の山には、宿泊場所の提供だけではなく 食事も提供する山小屋が相当数ある。
そこを、水・食料・山況情報の調達場所、休憩場所、睡眠場所、荒天時の避難場所、縦走の拠点として山を歩くわけだ。

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こんな喫茶店で読み始め。

著者は美大出のイラストレーター。
また、山小屋の支配人でもある。
小屋は、北アルプスの薬師岳(やくしだけ:2900メートル)、水晶岳(2986メートル)に近い、黒部川の源流域の沢筋に建つ。
イワナ釣りが目的の客が多い小屋。
彼女自身も、毛バリによるイワナ釣り名人。
携帯の電波は届かない。
営業は、7月のアタマから、10月のスポーツの日の3連休までの3ヶ月半。

その間の彼女の自室は、1畳と1/3。
2.2平米(注)
ここに、絵描きとしての道具も、釣り道具も、書籍も、もちろん寝床も。

本夕、読了。

NHKラジオ第1の『石丸謙二郎の山カフェ』はナマ番組。
先月末、その番組にユーコン川の川下りから帰って来たばかりだという著者が電話でゲスト出演しているのを聞いた。
こんなヒトが采配する山小屋は素敵なのに違いない。

(注)
1人用山岳テントの多くは、1メートル✖2メートル。
2.0平米。
その狭さが不満だといって、ソロなのに2人用テントを背負って山に入るヒトは結構多い。
2.2平米よりは確かに狭いが・・・

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2024年7月15日 (月)

夏山を歩く

全山、深緑。

 登り:西尾根コース
 下り:夏道コース

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ペトトル川の渡渉後、登りに取り掛かる。

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手前の木にアカゲラ。
何せレンズが17ミリ。
思いっ切りトリミングして、やっと姿が。

600メートルあたりはキジバト。
その先、山頂までウグイス。

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825メートルピークから望む山頂に、北から雲が迫ってきた。

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雲がかぶってきた稜線に夏紅葉。

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山頂寒暖計は23℃。
風穏やか。
しかし、暗い。
四周、下界ともガスに沈み、眺望を得られず。

山歩き時間3時間30分。
14930歩。

全給水量は、
 ・200CC

また、サタケのマジックライスとバーナーを持って上がったが、食欲わかず。

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2024年7月13日 (土)

『人は、こんなことで死んでしまうのか!』を読む

本著者は、2万通の死体検案書を書いた監察医。
同著者の著作は、以前にも 『解剖学はおもしろい』を読む と拙ブログの記事にしている。

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こんな喫茶店で読み始め。

本書に載せられていた一例。
胃の不調を訴えたら、胃散を処方された。
それを飲み続けた2、3日後に、突然死する。
こんな時、死因の ほとんどは心筋梗塞なのだとか。

左肩が凝(こ)る。
こんな時も、心臓発作を警戒する必要がある。
著者は、
 心臓の不調は体のどこに どういうかたちで
 あらわれるのかわからない。
と書く。
〝放散痛(ほうさんつう)〟というようだ。

本夕、読了。

私は、ひとこと・ふたこと以上を交わした間柄だったヒトの突然死を経験している。
 たった ひと晩の闘病もへずして逝った20代。
 闘病もナニも、ラグビーコート上で くずれ、そのまま
 逝った やはり20代。
いずれも、先天性の疾患とも生活習慣病とも無縁。
かつ、人並み以上の基礎体力と運動神経の持ち主だった。

〝腹上死〟は〝腹上死〟。
〝腹死〟も〝腹上死〟というのだと本書。

人は、こんなことでも死んでしまうが、あんなことでも死んでしまう。

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2024年7月 7日 (日)

『残酷な進化論』を読む

昨年度の、
 「科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(理解増進部門)」
を受賞したのは、YouTuberのヨビノリたくみ。
彼が配信した番組の中には、カッコいい理系用語とダサい理系用語といった息抜きモノもある。

カッコいい用語の、
 1位は 赤の女王仮説
 2位は 生成消滅演算子
 3位は 宇宙際タイヒミュラー理論

ダサい用語の、
 1位は 箱ひげ図
 2位は ベン図
 3位は 井戸型ポテンシャル

ちなみに、箱ひげ図はExcelの統計グラフ内にテンプレートが用意されているし、ベン図は円の組み合わせ。
当然、Excelで描画できる。

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こんな喫茶店で読み始め。

このダサい用語の1位から3位までを決定する過程では、〝おばあちゃん細胞仮説(grandmother cell hypothesis)〟も候補にあげられていた。
おばあちゃん細胞仮説〟とは全然違う概念なのだが、本書には〝おばあさん仮説(grandmother hypothesis)〟が紹介されている。

チンパンジーの兄弟姉妹には年子がいない。
なぜなら、チンパンジーの授乳期間は4~5年と長く、それゆえ出産間隔も5~7年と長いから。
同じ理由で、ゴリラの出産間隔は4年。
オランウータンは7~9年。

ところが、ヒトは授乳期間が2~3年と短いだけではなく、授乳期間中にも次の子を産める。
父親・祖父母に限らず、血縁関係にない者さえも子育てに協力する生物的・社会的進化が あるからだろうと、本書の説明。

本夕、読了。

霊長類のメスは閉経しないで死ぬまで子を産む。
ヒトだけが閉経し、その後も長く生きる。
ヒトが共同で子育てしてきたことで得た進化の形質で、これを〝おばあさん仮説〟と言うそうな。

〝仮説〟だから、真偽不明。
本書では、ヒトは夫一妻に向かう進化傾向がありそうだ と書く。
しかし、〝おじさん仮説〟・〝おじいさん仮説〟が成立する夫一妻に進んでもいいような気がする。

また、ヒトは かなり頻繁に浮気をするので夫一妻に向いていない、という意見があるようだ。

父親が持つ遺伝子による子の遺伝性疾患の調査では、父子関係に客観性の高いデータが得られる。
上記調査によって、父子として暮らしてきたが、実はアカの他人の関係なのだと判定されるのは1~4パーセント。

浮気で子ができるのが、1~4パーセント。
火遊び浮気なら、私の根拠レスのエイヤーっ見積もりで、この20倍、20~80パーセントはあるのでは。

ヒトは夫一妻に向いていない、という意見に私は首を縦にふる(^^;

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2024年7月 6日 (土)

『旅をする木』を読む

ロシア・カムチャツカ半島の最南端にあるのがクリル湖。
面積は支笏湖とほぼ同じ。
この湖からオホーツク海に注ぐ川をサケが遡上する。
カムチャッカのヒグマは そのサケを食う。

誰が教えたのか、
星野自身が考えたことなのか、
「遡上してくるサケを狙っているので、この時期のヒグマはヒトを襲わない」

と、クリル湖畔に設営したテントで一人寝したのが本著者の星野道夫。

しかし、ヒグマが何を食おうとヒグマの気分。
星野道夫はテントを壊され、シュラフを裂かれ、ヒグマに食われる。
'96年のこと。
星野、43歳。

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こんな喫茶店で読み始め。

北海道に憧れ、やがてアラスカに憧れ。
憧れは、現実に。
アラスカに土地を買い、家を建て、その地に妻をむかえ、子を育てる。
写真を撮り、文章を書き、本を作り、TV番組を企画し、世界中を旅する。

それを33編のエッセーに。

本夕、読了。

神田の洋書専門の古本屋で、アラスカの写真集を手に入れる。
その写真集に載っていた北極圏内の村で、19歳の彼は3ヶ月暮らす。
白夜の地で、クマを狩り、アザラシを狩り、トナカイを狩り・・・

14年後、ある偶然から、彼はその写真家と会う。
「そうか、私の写真集が君の人生を変えてしまったんだね・・・
 で、後悔しているかい?」

星野は こう書く。
 人生はからくりに満ちている。
 無数の人々とすれ違いながら、私たちは
 出会うことがない。
 その根源的な悲しみは、言いかえれば、
 人と人が出会う限りない不思議さに通じ
 ている。

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