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2024年3月

2024年3月31日 (日)

『銀座のプロは世界一』を読む

東京には、すべてが集まっている。
 ヒトも食もファッションも
 芸能も技術も知も
 富も貧も夢も絶望も

その東京の銀座には、
 ユニクロもあれば、シャネルも
 ラーメン店もあれば、ミシュラン三ッ星のフレンチレストランも

副題が、『各店を支える匠を訪ねて』。
銀座の匠は超一流。

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こんな喫茶店で読み始め。

朝鮮で使うハシは日本とほぼ同じ。
 ただし、金属
大陸で使うハシは日本とほぼ同じ。
 ただし、長い

銀座タカハシビルは雑居ビル。
B1F 花大根(はなだいこん:先月移転)
 1F 銀座夏野(なつの)
 2F 銀座すし嘉(よし)
 3F 銀座器ギャラリー門(もん)
 4F~6F 学習塾・ナイトクラブ

この銀座夏野はハシ(箸)の専門店。
ハシを展示し それを売るのは当然だが、客の要望に応じてオリジナル ハシを作ってくれる。
どころか、ハシの修理もしてくれる。

本夕、読了。

私は、ハシづかいがヘタ。
なので、塗りバシは苦手。
私が家で常用しているのは、コンビニ弁当に付いてくる あの無垢木の丸バシ(^^;

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2024年3月30日 (土)

『東京の美学』を読む

銀座丁目交差点は、〝銀座丁目交差点〟。
しかし、銀座丁目交差点は、〝数寄屋橋交差点〟と呼ぶ。
いずれも、片側4車線道路と片側3車線道路が交差する。

その数寄屋橋交差点を見下ろす位置に建つのが、地上8階・地下5階建てのソニービル。
そのビルの全階を使ってソニーの全製品が展示されていて、かつ そこでは それに自由に触れることができる。
ヘッドホンを試し聴きするだけでも、半日は過ごせるビル。

このソニービルを設計したのが、芦原義信(あしはら よしのぶ)で、本書の著者。

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こんな飯屋で読み始め。

本書、
 第一章 日本人の空間意識
  (一)日本人はなぜ靴を脱ぐのか
で、始まる。
高温多湿の気候風土のせいで、日本の住居の床は地面より一段高い。
そして靴を脱ぐ。
障子やふすまで構成される壁は 常に変化する。
〝床の建築〟である。
と、著者は書く。
対して、欧州は〝壁の建築〟である。

と、ヒネリのないストレートな論調が読みやすい。

本夕、読了。

今のApple社と同じく値引き販売なんかしなかったソニーが、いつの頃からか 量販店でオープン価格販売。
1964年竣工のソニービルは、2017年に解体された。

本著者は、ソニービルの解体を知らない。
2003年没。
享年85。

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2024年3月24日 (日)

『鉄道ひとつばなし』を読む

著者は政治学者。

初めに、
 学者が本業を放り出して、「趣味」の本を出すとは何事
 かという批判は覚悟している。
と書き、続けて、
 私にとって、鉄道は単なる趣味ではない。 それは経済
 史や経営史の研究対象となるばかりでなく、私の専門で
 ある政治思想史にとっても、テキストを読むだけでは見
 えない重要な手掛かりを与えてくれる。
と書く。

そして序章が、
 思索の源泉としての鉄道

鉄チャン・鉄子の好むトリビアが並べられているのではなく、広く深い知識と、整然とした頭の使い方で本書は書かれている。

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こんな喫茶店で読み始め。

大正天皇は その皇太子時代(1900(明治33)年~1912(大正元)年)に、沖縄を除く全ての道府県庁所在地を回っている。
1907(明治40)年、皇太子は 開通20日後の山陰本線に乗っている。
その時の、鳥取県の倉吉駅のある自治協会に残る記録が以下。

 奉迎人 倉吉駅到着は遅くも御着車時刻一時間前
 (九時五十分)とす もし同時刻を後れば構内
 に入ることを得ず

つまり、
 皇太子を乗せた列車は十時五十分に倉吉駅に着くから、
 歓迎に選ばれたものは、その一時間前の九時五十分まで
 に駅構内の指定場所に整列せよ。
 それに遅れた者は駅構内に立ち入ることを禁ずる。

数字をきれいに、九時五十分としても良さそうなものだが、一時間前は、あくまでもキッカリ一時間前。
時刻の五十分は、あくまでも五十分。

鉄道と皇族の硬い関係が見える。

本夕、読了。

ところで、本書初版は2003年9月だが、今も版を重ねている。
なお、執筆時、某大学助教授だった著者は、すでに名誉教授。

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2024年3月23日 (土)

『理系のための法律入門』を読む

 〝理系の〟
とあるが、
 知的財産法
 不正競争防止法
 製造物責任法
などが書かれている。

副題は、
 『技術者・研究者が知っておきたい権利と責任』

著者はそれについて述べるのにふさわしい経歴の持ち主。
風水力機器製造会社でエンジニアとして従事後、司法試験に合格、弁護士に転向したヒト。

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こんな喫茶店で読み始め。

昨日のニュースから ふたつ。
ひとつは、
 紅麴(べにこうじ:こうきく)を含むサプリメントを摂取した人に
 深刻な腎疾患が発症。
 製薬会社はその製品の回収を始めたというもの。
 ただし、紅麴成分と腎疾患の因果関係は不明。

もう ひとつは、
 生後9ヶ月の乳児が、ベッドからの転落を防止する柵とマットレス
 の間に挟まれて窒息死亡。
 両親がメーカーに求めた9300万円の損害賠償に対し、東京地裁
 が3500万円の賠償を命じたというもの。
 裁判所は、製品の設計に欠陥はないことを認めつつも、使用に当た
 っての警告表示が不十分だったというのが賠償額の算定根拠。

製薬に関しては、
 がん治療薬オプジーボを巡って、小野薬品が提訴された事案がある。

工業製品に関しては、
 青色発光ダイオードを巡って、日亜化学が提訴された事案がある。

いずれもノーベル賞受賞者が原告で、提訴の理由は特許使用料。
100億円を単位とする訴訟。

本夕、読了。

日本の地名が、中国で商標登録されている。
ひるがえって、日本でも、ジャガイモ・トウモロコシ・トウガラシ・シナチクなんてのが一般名詞化。
フランス・パリ・ジャワ・ワシントンが付く商品も。
ノーベル・コロンブスもそのたぐい。

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2024年3月17日 (日)

『すごいしくみ大百科』を読む

下糸を上糸がからめ上げて縫い進めるミシンのしくみを理解した日のことを覚えている。
覚えているくらいだから、それほど前のことではない。
いい大人になってから(^^;

自動車の差動歯車(デファレンシャルギア:デフ)のしくみを理解した日のことを覚えている。
覚えているくらいだから、それほど前のことではない。
いい大人になってから(^^;

ミシンも差動歯車も その発明は今から200年ほど前。
アタマのいいヒトってのはいるもンだ。

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こんな飯屋で読み始め。

チンをするときに使うラップ。
食器にピチッと張り付いて蒸気を漏らさず、かつ 蒸気圧で破れない強度が必要。
これ、某社製のラップが一番。
奥さんに、
 「ラップを買ってきて」
と、お使いを頼まれたときに、ポリエチレン製のラップなんかを買ってきてはいけない。
塩化ビニリデン  H Cl
         | |
         C=C
         | |
         H Cl
の二重結合を開いて重合させたポリ塩化ビニリデン(PVDC)製のものに限る。

本夕、読了。

ラップが食器に張り付くのは、何か粘着物質でもフイルム表面に塗布してあるのかと思っていたが、分子間力の一種(ファンデルワールス力)によるものなのだと本書に。

重力は距離の2乗に反比例
熱輻射は温度の4乗に比例
対して、
ファンデルワールス力は距離の7乗に反比例
と、ものすごく効く。

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2024年3月10日 (日)

『恐怖の正体』を読む

高所恐怖症
閉所恐怖症
対人恐怖症
先端恐怖症
なんかは、私にも何となく分かる。

モノに触れるたびにセッケンで手を洗わなくては落ち着かない潔癖症は、不潔恐怖症とでもいうのかも。

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こんな飯屋で読み始め。

著者は、甲殻類恐怖症の精神科医。
料理の中に、少しでもエビ・カニが入っていたら、それを取り除いても 既に〝汚染〟されていると感じるという。
著者が恐怖とする対象は広く、外骨格系生物は全部ダメで それは昆虫もなのだと。

〝娯楽としての恐怖〟もある。
怖いモノ知りたさで、ジェットコースターなどの絶叫マシンの乗り場の列に並ぶヒトが少なからずいる。
怖いモノ見たさで、刑場に集まるヤジ馬心理もそうだろう。

幽霊の正体見たり枯れ尾花
って、恐怖をコケにする ことわざもあるが、本書では それには触れていない。

本夕、読了。

本書には、ヒトがヒトを食うカニバリズム(cannibalism)にも言及している。
生産計画上は、
 1基でまかなえる設備を2基
 2基でまかなえる設備を3基
と配置するのを冗長(じょうちょう)設計という。
生産現場では、その余力をバックアップとか予備機とかと称するのだが、本機(常用機)がコケた場合、しばしば以下の状態におちいる。
すなわち、予備機が〝部品取り機〟となり、いつの間にか、
生産計画上は、
 1基でまかなえる設備を2基配置したのに、稼働できるのは1基のみ
 2基でまかなえる設備を3基配置したのに、稼働できるのは2基のみ
となってしまう。
これを、cannibalism maintenance(共食い整備)という。

著者は、これも恐怖としている。

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2024年3月 2日 (土)

『大名格差』を読む

北村桃児(きたむら とうじ)作詞の、
 歌謡浪曲『あゝ松の廊下』
には、以下のセリフが入る。

 放してくだされ梶川殿
 五万三千石
 家をも身をもかえりみず
 上野介(こうずけのすけ)を討つは
 将軍家の御威光と役職を笠に着て
 私利私欲に走る人非人を斬るためじゃ
 その手を放して下され梶川殿

北村桃児とは、三波春夫の作詞家としてのペンネーム。
 家をも身をもかえりみず
に吉良上野介を討とうとするのは、播磨赤穂藩 五万三千石の藩主 大名 浅野内匠頭 長矩󠄁(あさの たくみのかみ ながのり)。

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こんな飯屋で読み始め。

斬られた吉良上野介は四千二百石の旗本。

だが、官位は、
 内匠頭 従五位下(じゅごいのげ)(注)
 上野介 従四位上(じゅしいのじょう)
と、上野介が上。

 将軍家の御威光と役職を笠に着て
というセリフがこれ。

衣装、その色、江戸城入城の際にカゴから降りる場所に至るまで、大名には細かい規則で差が付けられていた。

本夕、読了。

NHK大河ドラマ『光る君へ』の舞台は平安中期。
役者も それを観る方も現代人。
なので、演出家は、
 「行っちゃおゥかなァ」
などと、平安貴族を演じる役者に現代人口調で話させる。
が、「死ぬ」を「みまかる」と言わせるところは、やはりNHK、時代考証に抜かりはない。

ところで、裳(も:平安時代の和式ロングスカート)に隠れて あらわには見えないが、まひろ(紫式部)ら平安女性は片膝をついて座っている。
いわゆる正座は もっとずっとあとの座り方で、ここにも確かな時代考証。

男は近世までアグラ。
徳川幕府は、将軍の前では大名・旗本を含む臣下の者に正座を強いた。
仮に将軍に手を出そうとしても、この座り方ではひと呼吸遅れる。

(注)

官位職を言うとき、〝従〟を〝じゅう〟と発音しては笑われる。
この場合、〝従〟の発音は〝じゅ〟。

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