『ぼくらの近代建築デラックス!』を読む
建築基準法施行令第88条は、地震力を規定している。
〝標準〟という前提付きで書かれているその数値の最低値は、剪(せん)断力係数で0.2。
この0.2は、建物重量の20パーセント相当の力のこと。
建物の重心位置に 水平方向にこの力をかけても建物に致命的な損傷を生じさせない設計をするための目安。
この0.2には根拠がある。
関東大震災で倒れた墓石の調査結果。
新館建設のため1968年(昭和43年)に解体されたのは、1923年(大正12年)竣工のフランク・ロイド・ライト 設計の帝国ホテル(ライト館)。(注)
このライト館の完成披露パーティーの その当日に起きたのが、関東大震災。
この地震に、ライト館は耐えた。
こんな喫茶店で読み始め。
先月 直木賞を受賞した万城目学(まきめ まなぶ)と、推理小説作家の門井慶喜(かどい よしのぶ)が、大阪・京都・神戸・横浜・東京・台湾の近代建築を訪ねる。
1931(昭和6)年竣工のモロ近代建築に外側だけ化粧をほどこした大阪城天守から、1904(明治37)年竣工の横浜正金銀行(現:神奈川県立歴史博物館)といった落ち着きと品の良さを感じさせる建物まで67棟。
文化史学を専攻した門井の近代史と建築の知識が広く深い。
本夕、読了。
東京・横浜・神戸にある近代建築は、震災と戦災をくぐってきているので それだけでも貴重。
前調べは旅をつまらなくするというヒトもいるけれど、二人とも予習、あるいは再訪しての確認十分。
訪れるのは、ヒトが作ったモノ。
かつ、作ったヒトは優秀。
予習なしでは、ポカンと口を開けるだけだろう。
私がそれ。
ポカンと口を開けて読み進めた(^^;
(注)
『フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群』として、世界遺産に登録されている建物が8棟ある。
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