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2024年2月18日 (日)

『寄書の世界史』を読む

「寄書」とは、〝奇〟跡 の書でも、〝寄〟せ書きの書でもない。
「寄書」とは、〝奇〟妙な書 、〝奇〟天烈な書のこと。

国内で出版される書籍(CD・DVD なども含む)は、決められた部数を国立国会図書館におさめなければならない(国立国会図書館法:納本制度)。
国は、その販価の50パーセントを納入者に補償する。
誰でも考え付く悪知恵が、以下。
外国文字をランダムに印刷しただけの、執筆も編集工程もない書籍を納本し、50パーセントの補償でも十分過ぎる益を得る出版社が現れた。
こんなのは〝寄書〟といえるだろう。

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こんな飯屋で読み始め。

16の寄書が紹介されている。
内、ひとつが、江戸の終わり頃の椿井文書(つばいもんじょ)。
拙ブログでも 『椿井文書』を読む として記事にしたが、近畿の20の市町史編纂者が、これにコロッとだまされている。
『椿井文書』は、つい最近まで寄書ではなかった。

マルコ・ポーロの『東方見聞録』。
それには、黄金の国ジパングが記載されている。
『東方見聞録』は、世界史に残る紀行の書。
今現在でも、寄書とはいわないだろう。

紀伊國屋やジュンク堂には、『円周率1000000桁表』とか『素数表150000個』とか『自然対数の底1000000桁表』とかが売られている。
書かれている数字は正しい。
が、寄書(だと思う)。

本夕、読了。

誰でも電卓を持てるようになった頃でも、理工学書の巻末や理科年表には、平方根表や対数表や三角関数表がのせられていた。
丸善の『五桁対数表』は今でも版を重ねている。
これらは寄書とはいわない(だろう)。

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