『サハラに死す』を読む
ノマドワーカーとは、テレワーカーと呼ばれているヒト。
最近の言葉で、20年前には聞かれなかった。
ここで、〝ノマド〟とは〝遊牧民〟のこと。
だから、ノマドワーカーは自宅だけではなく、カフェやレンタルワーキングスペースなど、気分のままに日々・時々、ノートパソコンのキーボードをたたく場所が変わる。
スターバックスやサンマルクで、MacBookのキーボードをたたいているヒトたち。
彼ら、彼女らの多くがノマドワーカー。
(地図は、帝国書院の文科省検定済中学校社会科用より)
左の●は、モーリタニアの大西洋岸の町、ヌアクショット。
右の●は、スーダンの紅海岸の町、ポートスーダン。
この2点間に横たわるのがサハラ砂漠。
2点間距離は7000キロ。
本書は、1973年の12月から翌年5月まで、サハラを西から東へと(画像の地図を左の●から右の●へと)横断しようとした青年の旅日記。
なお、
●は、マリのメナカ。 著者の遺体が発見された地点。
◎は、ナイジェリア最大の都市のラゴス。 日本大使館がある。
義務教育の地図帳のアフリカ地図では、とても旅程を追えない。
世界大百科事典の『世界地図』を手元に置いて、読み進めた。
高校を1年で中退。
英語学校に通ったあと、ヒッチハイクで世界50ヶ国を回る。
サハラの縦断も2回。
著者は、自分のことを〝ノマド(本書内の表記はノーマッド)〟と呼ぶ。
本夕、読了。
サハラを2000キロ進んだところで、ラクダを死なせ、その先へは進めなくなる。
で、日本の商社・企業が数十社進出、日本大使館もあるナイジェリアのラゴスへ。
そこで、在留邦人向けのガリ版新聞を作って配達する仕事を時事通信社からもらう。
その報酬、日本の親や友人へのカネの無心、在留邦人からのカンパ。それで、新しいラクダを買いサハラ横断旅行を再開。
旅は再開するが、その再開から幾日も経ずしてラクダに逃げられる。
自分のことを〝ノマド〟と呼んだ青年の遺体は見つかり、現地で解剖される。
胃・腸も膀胱も空っぽであることから、所見は渇死(かっし)。
22歳。
サハラの単独横断に成功した者は、今現在に至るまで いないという。
コメント
私は砂漠を見たことがありません。
いま絵鞆マリン倶楽部のHPに砂漠に立つクラブ員の写真が掲載されていますが、砂漠に立つというのはどんな気分になるのでしょうね。
自分の中に冒険が必要という人は、けっこう多いのだろうと思います。
砂漠を横断するにしても、
高い山頂を目指すにしても、
見知らぬ誰かとの繋がりを求めるにしても。
人がヒトである由縁ですね。
その過程で渇き、滑落し騙されたとして。
それは自業自得。むしろ無意識の本望なのかも知れません。
平々凡々、波風も無くただひたすらに毎日を過ごすのが、ヒトの最上の幸せとは言い切れません。
さて、貴殿は何を企んでいらっしゃるのかな。
最近すっかり鎮まっていますね。
投稿: めりー | 2023年12月21日 (木) 13:16
めりーさん、こんにちは
気候学者の書いた『森林の思考・砂漠の思考』という本を読んだことがあります。
森林にすむ人は、まわりにすべてがある、
遠くを見る必要がない。
砂漠にすむ人は、まわりに何もない。
しかし、遠くが見える。
で、
森林の民は〝森林の思想〟を持ち、それは〝この世は永遠〟
砂漠の民は〝砂漠の思想〟を持ち、それは〝この世には始まりと終わりがある〟
と。
森林帯限界を抜け視界がひらける時、感じませんか。
あゝ、違う世界がある、って。
私は何も企んでいません。
あれを食いたい、これを飲みたい
あれを見たい、あそこへ行きたい
と、考えませんしねェ。
バカなんだと思う。
投稿: KON-chan | 2023年12月21日 (木) 22:02