『「利他」の生物学』を読む
〝利他〟とは、我が身の不利をかえりみない、他者への奉仕・献身。
そもそも生物は、食うか食われるかの弱肉強食の〝利己〟の生存競争を生き抜くことで、種をつないできた。
弱肉強食とまで言わずとも、弱者衰退・強者繫栄・適者生存。
本書は、そんな生命観の向こう側にある生物界の現実を見せてくれる。
生物にとっての〝利己〟と〝利他〟は表裏一体。
どころか、表表一体、裏裏一体。
副題は、
『適者生存を超える進化のドラマ』
こんな飯屋で読み始め。
本書は、植物学の専門家と動物学の専門家の2名による共著。
本書で言う〝利他〟とは、〝共生〟のこと。
植物と動物の違いで一番大きいのは〝葉緑体の有無〟ではなかろうか、というのが2人の生物学者の一致した結論。
ところで、砂浜に棲む体長30マイクロメートル(0.03ミリメートル)の微生物の〝ハテナ・アレ二コラ〟。(注)
〝ハテナ〟は体内に緑藻を宿す(共生している)ので、体色は緑。
緑藻の葉緑体が光合成することのみが命の元。
なので、口はない。
〝ハテナ〟は植物。
本夕、読了。
〝ハテナ〟の繁殖は分裂によるが、緑藻は分裂しない。
よって、緑藻は〝ハテナ〟の分裂した一方に残る。
分裂した もう一方の〝ハテナ〟は、体内に緑藻を持たないので無色の体となる。
で、その無色の〝ハテナ〟には〝口〟が形成され、摂食を開始する。
ということで、〝ハテナ〟は、植物にもなるし、動物にもなるンだと(@@)(驚愕)
(注)
〝ハテナ・アレ二コラ〟の発見は、日本人。
名前の〝ハテナ〟は、日本語の〝はてな:?〟に由来する。
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