『皮膚のふしぎ』を読む
サハリンに住む3歳の男児コンスタンチンが、全身の80%に負った重度のやけどの治療のために札幌に緊急搬送されている。
ソ連邦の崩壊は1991年。
その前年の1990年のこと。
2019年の京都アニメーション放火殺人事件。
容疑者は、自らも重度のやけどを全身の93%に負い送院されている。
いずれも、救命された。
こんな喫茶店で読み始め。
著者は皮膚医学者。
皮膚の最外層が角層で、その厚みは0.2ミリ。
すでに死んだ細胞だが、病原体(ウイルス・細菌・アレルゲン)や異物(花粉・ホコリ・大気汚染物質)を物理的にブロックする。
それをくぐり抜けた病原体や異物に対しては、免疫機能を活動させる。
ところで、整形外科で処方される消炎湿布薬のモーラステープ。
これは私には 素晴らしくよく効き、貼って10秒もすると筋肉にまで薬効が届く。
ブロックする仕組みは分かった。
が、本書、薬効成分を通過させる仕組みの説明はない(^^;
本夕、読了。
口から肛門までは つながった1本のクダ。
皮膚は人体の外側だが、口から肛門までのクダの内側も外側だと言えないこともない。
安部公房は、ヒトはクダのような存在だと書いている。
黒鉄ヒロシにいたっては、マンガ 赤兵衛 で、ウエットスーツを裏返すように人体を裏返ししてみせた。
本書によれば、ヒトの皮膚1センチ平方あたりには、数十万から数百万の細菌(皮膚常在菌)が棲息しているそう。
腸内細菌は40兆個。
ヒトは やはりクダなのかもしれない。
本著者は、皮膚免疫と腸内免疫の関係に触れ、皮膚常在菌と腸内細菌の相互関係の研究に深い関心を示す。
コメント
腸管の内腔は外界です。
ヒトは多数の微生物が共生する集合体ですね。
昨今の除菌ジョキンで、ヒトの体内環境も狂ってしまいそうに思います。
投稿: めりー | 2023年10月 5日 (木) 08:22
めりーさん、こんにちは
本書著者は、アトピー性皮膚炎の専門家。
近年の人体内外の清潔度の向上がアトピー性皮膚炎の発症をうながしているという説があるようで、私もそれは知っていました。
が、最新の研究では、それが正論だとは言えないようで。
みたいな話に接続して、〝糞便移植〟について書かれていました。
胎児の腸管は無菌。
産道通過の際に、菌を得るんですね。
私は大腸内視鏡検査を何度か受けています。
あれ徹底的に腸内洗浄をしますが、除菌は完全ではないのですね。
投稿: KON-chan | 2023年10月 5日 (木) 20:05