『家裁調査官は見た』を読む
日本の法曹人口の概数は、
弁護士が3万人強
裁判官が2千8百人弱(注)
裁判を維持するのに必要な調査を行うなどして裁判官をサポートする仕事を行うのが、裁判所調査官。
・最高裁判所では、判事(地方裁判所裁判官)が就く
・高等および地方裁判所では、知的財産の専門家と租税の専門家が就く
以上の調査官が法律家なのに対し、
・家庭裁判所(以下、家裁)では、カウンセラー(臨床心理士・家族心理士
など)が就く
いずれの裁判所の調査官も、国家公務員。
こんな飯屋で読み始め。
本著者は、社会福祉学部教授として学生を指導しているが、家裁調査官として17年間の勤務経験を持つ。
家裁が扱うのは、家庭に関する調停や少年の保護事件の審判など。
だから、家裁調査官は、家庭、家族、少年少女、その親たちに深く立ち入ることになる。
本夕、読了。
家裁調査官が大事にすることは〝聞くこと〟だ。
と、本著者。
が、そのことだけではヒトは救えないことを〝苦い思い〟として本著者は書く。
覚せい剤を使った17歳の少女が、著者にこう訴える。
「チャンスが欲しい。(少年院ではなく)社会で立ち直りたい」
で、著者の裁判官への意見具申は、
「この子を少年院に送るのは適当ではない。
適切な環境を整えて社会の中で更生をはかるのが最善である」
その1ヶ月後、変わり果てたように目はくぼみ肌の潤いを失った少女が言う。
「ヤクザっていうのはすごいよ。
シャブやってる女の子がいるって聞いたら、そこへサーっと集まって来るん
だよ。 本当にすごいよ」
と。
ヤクザに連れ回され、1日に7回も覚せい剤をうたれ そのたびに性交。
女子少年院に送られることで、少女は やっと適切な環境を得る。
(注)
検事はもっと少なく、2千人弱。
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