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2023年7月 2日 (日)

『実戦・世界言語紀行』を読む

大阪 吹田の万博記念公園に、1977年に開館したのが国立民族学博物館。
その初代館長が、本著者の梅棹忠雄(うめさお ただお)。
館長就任から10年ほどのち64歳で著者は両眼とも失明するのだが、執筆意欲は衰えず。
著作数は むしろ失明後のほうが多い。
本書も、失明後の著書。

元々は、動物学を専攻した理学博士。
理学部在籍中から、興味の先はヒト。
それも生理学的興味ではなく、集団としてのヒト、文化的興味。

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こんな飯屋で読み始め。

書かれているのは、著者の民俗学的調査歴。
民俗学的調査だから、そのフィールドが東京やニューヨークであるはずがない。
都市から遠い奥地。
あるいは、言葉が入り混じる国境の地。

モンゴル・中国をスタートに、東南アジア、ヨーロッパ、南アメリカ、アフリカへと。
調査は、そこに住む民族の言葉の習得から始まる。
日本語で書かれた文法書も辞書もない言葉が使われている地に入ることもある。
それでも、現地に入ってから1ヶ月で、調査に不自由しない程度の会話ができるまでの現地語が身に付く。

本夕、読了。

〝現地語が身に付く〟と書いたが、もちろん受動的態度では現地語は身に付かない〟
1日にマスターする単語数は300。
語学に限らず、何事も集中力。
が、どれだけ集中しても、ダメなヒトはダメ。
オレのこと(^^;

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コメント

長きにわたる学校教育のなかで体育に次いで成績が悪かったのが、英語でした。
しかし世の中には、多言語をネイティブのように扱いこなす人も多くいるようですね。
きっと彼らと単一言語しか理解できない私とでは、脳みその回路が根本的に異なっているに違いありません。
集中力じゃない。と私は思います。
と、まあこれも言い訳ですね。

投稿: めりー | 2023年7月 5日 (水) 11:56

めりーさん、こんにちは

芸術が そうですね。
どれほど練習しても、ダメなヒトはダメ。

バイオリンやトランペットや尺八は、音を出すこと自体が難しいです。
だけど、バイオリンやトランペットや尺八を発明したヒトは、音楽として奏でることができると確信してそれを作ったンでしょうね。

そして、そんな楽器が生まれる前のヒトの中には、発揮させることができずに歴史に埋もれてしまった才能がたくさんあったのでしょう。

語学を信じられないスピードでこなしていくヒトがいます。
文法書と辞書を手にしたその翌日から、原書でトルストイやサルトルを読みだしたヒトを知っています。

本著者は、忘れることを少しも恐れていません。
調査が終われば、身に付けた言葉を定着させるための復習なんてしません。
なので、忘れます。
それでいいのだそうです。

忘れましょう(^^;

投稿: KON-chan | 2023年7月 5日 (水) 18:42

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