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2023年5月21日 (日)

『ぶらりミクロ散歩』を読む

大学の解剖学教授職を定年退職後、電子顕微鏡を据えた私設研究所を開所。
そのヒトが、本書の著者。

対象を乾燥させ、さらに真空下に置くことが必要な電子顕微鏡。
そこまでの処理を必要としないのが、著者も その開発に参画した 低真空走査電子顕微鏡(低真空SEM:低真空 Scanning Electron Microscope 以下、SEM と記す)。

なお、低真空とは、大気圧(101325Pa(パスカル):丸めて 105Pa )から、下はその1/1000 までの範囲。
すなわち、105Pa から、下は 102Pa。
ちなみに、家庭用の電気掃除機で到達できるのは 10Pa くらいまで。


現在のSEMは、昆虫を生きたままで観察できるという。

Photo_20230521095001
こんな飯屋で読み始め。

予備知識として、
 被写界深度が深いとは、
 ピントの合う幅が広いこと。
 絞れば絞るほど、暗くなるが、被写界深度は深くなる。
 パンフォーカスが、その典型。
 短いレンズ。

 被写界深度が浅いとは、
 ピントの合う幅が狭いこと。
 絞りを開ければ開けるほど、明るくなり、被写界深度は浅くなる。
 ピントの合った部分の前後はボケる。
 長いレンズ。

SEMは、被写界深度が深い
なので、表面の立体構造が よくわかる。

本書の第1章は、『なんでも覗いてやろう』。
 著者に痛い思いをさせた尿管結石
 自宅のタタミに生えたカビ
 ウナギ(の幼生:レプトケファレス)のウンコ
等々。
レプトケファレスを解剖して得たウンコから、幼生期のウナギの食性を突き止め、ウナギの人工養殖への足掛かりとする。

本夕、読了。

本書最終ページに、著者の私設研究所に据えられた日立製のSEMの写真が載せられている。
そのキャプションが、
 我が愛機
 死ぬときは、この装置に もたれて死にたい

素敵な言葉だ。

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コメント

おはようございます。
子どものころ、小さい顕微鏡を買って貰っていろいろ見て遊んでいました。一般的によくある、ミドリムシなどの小さな生き物とか。
SEM、面白そうですね。
海水には、目には見えないいろんな生物がウヨウヨしているでしょう。
物体の表面なんかも、素材や組成でもちろん違うんでしょうし。
なんでも覗いてみたくなりますね。

そして、素敵な言葉ですね。
ええ、ほんとうにそう思います。

投稿: めりー | 2023年5月22日 (月) 08:49

めりーさん、こんにちは

試料を薄くできなかったり、染色をうまくできなかったりして、なかなか思うようにはプレパラートを作れません。
出来合いのプレパラートが売られていますね。
私も色々持っています。

SEM。
セムと発音するようです。
セム、1台いかがですか(^^) 
安定した電子線を出すための高電圧電源と描画用の高速コンピュータも必要となります。

舟見町の道立栽培水産試験場を見学したことがあります。
実体顕微鏡でシャーレの中の海水を覗かせてもらいましたが、プランクトンがウヨウヨいました。

2人が向かい合って同時に観察できる、接眼部が2つある顕微鏡がありますね。
随分以前、若い伝染病研究者と彼を支える女性の恋愛ドラマを見ました。
彼が、ついにその病原体を発見。
向かい合って顕微鏡を覗く二人の手が・・・

って、ことにセムはなりません。
コンピュータで作られた画像はモニターで観察。
死ぬときは、もたれるに十分な大きさのセムですが、ロマンスは生まれません(^^;

投稿: KON-chan | 2023年5月22日 (月) 19:54

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