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2023年5月 9日 (火)

『ブナの森を楽しむ』を読む

夏、風になびいた葉が車体をなでそうなほど竹林が迫ってくる。
竹林が途切れると、目に入るのは山肌にブナの林。
東海道線にも山陰線にもそんなヶ所がある。

北海道には竹林はない。
ブナも温帯樹。
そのブナの北の限界は寿都と長万部を結んだ線あたり。
特に、黒松内町の歌才のブナ林は、北限だというのをウリにしている。

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こんな喫茶店で読み始め。

著者は、富良野や宮城県鳴子(なるこ)の大学演習林で研究を続けた林学者。
大学を定年退職後は、鳴子のブナ林にログハウスを建て そこを拠点に研究を続けている。

本書内に多数あるイラストは著者の手によるもの。
寿命の長い樹木を研究対象にしているだけに、著者の文章もイラストも急いで書(描)いたところがない。
かつ、低い視点・高い視点。
加えて、広い視野。
で、林に生きる動物・植物・昆虫・鳥。
それら全体を包む気象が説明される。

本書によると、
 ・雪深い日本海側斜面のブナと雪浅い太平洋側斜面のブナは違う
 ・日本のブナに巣食う昆虫とと欧州のブナに巣食う昆虫は違う

本夕、読了。

日本の林業家が共通して持つのは、山林の
 手入れを善
 放置を悪
とする観念。
著者は、それに大いに反論する。

ところで、ブナの生育北限だが、あちこちに、また本書にも書かれている寿都ー長万部ライン。
そのラインより北の札幌市内で育っているブナを、私は知っている。
樹齢50は超えていると思う。
もっとも、植林されたものだが。

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コメント

ブナの森に踏み入ったことがありません。
どんな香りがするんでしょうね。
私が初めて本州を走りに行った時に感動したもののひとつが、竹林でした。
北海道では見られないので。
と思っていましたが、どうやら函館の辺りでは竹林があるそうですね。
本州の竹林とは規模が違うだろうと思いますが、小さな日本の中でも植生やオサカナの分布がぜんぜん変わるのは、面白いですね。

投稿: めりー | 2023年5月11日 (木) 04:50

めりーさん、こんにちは

ブナは風媒花。
なので、虫を呼ぶきれいな花びらや香りはないようです。

ブナは、雄花・雌花が1本に咲く木で、
 雄花は下のほうに下向き
 雌花は上のほうに上向き
に付きます。
そうすることで、自家受粉を避けているのですね。

おっしゃるように、北海道にも竹林があります。
伊達にもあります。

伊達の道の駅の海側に、「ちく林」というソバ屋があります。
その竹林近くから移転した店です。
店名の由来は〝竹林〟なのでしょう。
繁盛しているようで、手製だった箸袋が既成の袋になってしまいました。

津軽海峡は深いので、氷期でも北海道と本州が陸続きになっていません。
陸生の動植物の断絶の理由。
ブラキストン線ですね。

投稿: KON-chan | 2023年5月11日 (木) 07:26

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