『ブナの森を楽しむ』を読む
夏、風になびいた葉が車体をなでそうなほど竹林が迫ってくる。
竹林が途切れると、目に入るのは山肌にブナの林。
東海道線にも山陰線にもそんなヶ所がある。
北海道には竹林はない。
ブナも温帯樹。
そのブナの北の限界は寿都と長万部を結んだ線あたり。
特に、黒松内町の歌才のブナ林は、北限だというのをウリにしている。
こんな喫茶店で読み始め。
著者は、富良野や宮城県鳴子(なるこ)の大学演習林で研究を続けた林学者。
大学を定年退職後は、鳴子のブナ林にログハウスを建て そこを拠点に研究を続けている。
本書内に多数あるイラストは著者の手によるもの。
寿命の長い樹木を研究対象にしているだけに、著者の文章もイラストも急いで書(描)いたところがない。
かつ、低い視点・高い視点。
加えて、広い視野。
で、林に生きる動物・植物・昆虫・鳥。
それら全体を包む気象が説明される。
本書によると、
・雪深い日本海側斜面のブナと雪浅い太平洋側斜面のブナは違う
・日本のブナに巣食う昆虫とと欧州のブナに巣食う昆虫は違う
本夕、読了。
日本の林業家が共通して持つのは、山林の
手入れを善
放置を悪
とする観念。
著者は、それに大いに反論する。
ところで、ブナの生育北限だが、あちこちに、また本書にも書かれている寿都ー長万部ライン。
そのラインより北の札幌市内で育っているブナを、私は知っている。
樹齢50は超えていると思う。
もっとも、植林されたものだが。
コメント
ブナの森に踏み入ったことがありません。
どんな香りがするんでしょうね。
私が初めて本州を走りに行った時に感動したもののひとつが、竹林でした。
北海道では見られないので。
と思っていましたが、どうやら函館の辺りでは竹林があるそうですね。
本州の竹林とは規模が違うだろうと思いますが、小さな日本の中でも植生やオサカナの分布がぜんぜん変わるのは、面白いですね。
投稿: めりー | 2023年5月11日 (木) 04:50
めりーさん、こんにちは
ブナは風媒花。
なので、虫を呼ぶきれいな花びらや香りはないようです。
ブナは、雄花・雌花が1本に咲く木で、
雄花は下のほうに下向き
雌花は上のほうに上向き
に付きます。
そうすることで、自家受粉を避けているのですね。
おっしゃるように、北海道にも竹林があります。
伊達にもあります。
伊達の道の駅の海側に、「ちく林」というソバ屋があります。
その竹林近くから移転した店です。
店名の由来は〝竹林〟なのでしょう。
繁盛しているようで、手製だった箸袋が既成の袋になってしまいました。
津軽海峡は深いので、氷期でも北海道と本州が陸続きになっていません。
陸生の動植物の断絶の理由。
ブラキストン線ですね。
投稿: KON-chan | 2023年5月11日 (木) 07:26