『戦争の値段』を読む
2015年に公開された映画『ミケランジェロ・プロジェクト』の原作は、
『The Monumennts Men;Allide Heroes,Nazi Thieves and the Greatest
Treasure Hunt in History』。
邦題を、
『ナチ略奪美術品を救え―特殊部隊「モニュメンツ・メン」の戦争』
として白水社から出版されている。
ナチは、占領したフランス・オランダなどから、美術品をドイツ国内に移した。
それを取り戻すために米国陸軍内に組織された「モニュメンツ・メン」が、まだ降伏前のドイツ領内に入る。
戦争に勝つにも負けるにもコストが発生するが、美術品の移送にもコストが発生し、それを取り戻そうという行為にもコストが発生する。
著者は原子核工学を学んで出版社に記者として入社、投資ファンド会社を経て独立したヒト。
こんな喫茶店で読み始め。
本書の副題が、
『教養として身につけておきたい戦争と経済の本質』
〝教養として〟の対象は、義務教育修了レベルの私のようなヒト。
なので、比較化・一覧化・グラフ化された表示が多く、読みやすい。
特に、目新しいことは書かれてないが、〝カネ〟での表現が多い。
〝本質〟とは、本書ではコストのこと。
日清戦争・日露戦争のコストと、当時の日本の国家予算とGDPの関係。
太平洋戦争の日米経費の比較。
ベトナム戦争・湾岸戦争のコストと、米国の国家予算とGDPの関係。
フォークランド紛争経費と、英国の国家予算とGDPの関係。
戦端を開く、継戦するに至るには、ソロバン勘定ができなくてはならない。
ああだこうだ言っても、カネ。
本夕、読了。
戦争の当事者が、美術品を愛でるためにそれを奪い隠匿する。
そのコストは、本書では見積もられていない。
戦争の当事者のもう一方は、隠匿された美術品のありかをさがし、そこへの攻撃を止める。
美術品を取り戻そうとするモニュメンツ・メン部隊のコストも、本書では見積もられていない。
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