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2023年1月29日 (日)

『大名左遷』を読む

予備知識として、
 改易(かいえき)とは、取りつぶし
 転封(てんぽう)とは、国替え
のこと。

信長、秀吉と天下統一が進み、家康に至って安定した幕政体制が成立した。
その過程は、力によるもの。
ヤクザの縄張り争いと同じ。

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こんな飯屋で読み始め。

江戸幕府は、〝末期(まつご)養子の禁〟で大名を縛った。

無嗣絶家(むしぜっけ:後継ぎの子供がいないこと)は改易される。
養子を幕府に届け出て、許可を得ておけば、改易を逃れることはできる。
が、藩主が危篤になってからのような養子、これが末期養子で、幕府はこれを認めない。
早々に養子を決めてしまうと、後で実子が生まれるとお家騒動となりかねず。
みたいなことがあって、幕府への後継ぎの届け出は、そのタイミングが難しかったようだ。
結果、浪人が増え、由比正雪の乱(慶安の変)を招いている。

姫路は西国の外様大名を監視する要衝。
その姫路城々主(姫路藩主)は、小寺氏・黒田氏、池田氏、本多氏、松平氏、榊原氏、酒井氏と変わっている。
無能藩主や幼年藩主ではその任に堪えないと判断され、転封が続いたからで、姫路藩主と他藩々主が入れ替わる。
という単純なわけがなく、玉突き国替えが当たり前。
なので、特に理由なく、石高が減ったり増えたりすることがある。

左遷・栄転は運任せ。

本夕、読了。

もちろん、運任せが全てなわけがない。
藩政の失敗という実力不足。
世渡りベタ。
は、石高を減らされることに直結する。
どこかの石高が減れば、どこかにそれが配分される。
だいたいは幕府に取り上げられてチョンだが、思わぬ石高増加にあずかることもある。
栄転に運が大きく作用するのは、江戸も現代も同じ。

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コメント

こんにちは。
中々興味深い本です。
江戸城の中には魑魅魍魎が住んでいるそうで、その方々の一部が改易だとか、転封とかを決める。
特に外様さん方はいつ難癖を付けられるか
たまったもんじゃありませんねぇ。
相変わらず良い本読んでますなァ~。

投稿: きーさん | 2023年2月 2日 (木) 13:02

きーさん、こんにちは

組織の合併・分割はよくあること。
対等合併なら、トップはたすき掛け。
大が小を吸収したのなら、小にいた一般者は大喜び。
が、幹部だった者は苦労が絶えない。
また、大から小への天下りは、分割の場合の常。
ポストが増えるのだから、人事はやりやすい。

どんな組織においても、外様は結局 外様扱い。
それは仕方のないこと。
仕方のないことと思わせる政策をひねり出す知恵者がいるわけです。

投稿: KON-chan | 2023年2月 3日 (金) 01:24

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