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2022年12月 4日 (日)

『日本語通』を読む

日本語の漢字廃止論は明治前からあった。
ひらがな・カタカナまでも廃止し、ローマ字化すべしとする論さえ、明治の政界・学界から出ている。
現在でも、ローマ字表記で出版される書籍がある。

それはしかし、文字だけのこと。
国語自体を他言語と入れ替えるべきという話はない。

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こんな飯屋で読み始め。

日本における終戦記念日は、8月15日。
対して、対日戦勝記念日は、
 英 国:8月15日
 韓 国:8月15日(光復節)
 北朝鮮:8月15日(解放記念日)
 米 国:9月2日
 ロシア:9月2日
 中 国:9月3日
米露中の対日戦勝日の認識は、降伏文書への署名が9月2日だったことに因む。
降伏文書への日本・連合国代表の署名は2日午前9時ちょっと過ぎに終わり、それから1時間も経ずして、
 「翌3日10時から、日本の公用語を英語とする」
旨の文書が、連合国(米国)から日本政府に渡されている。
連合国の要求を当時の日本政府がのまなかった(のめなかった)ことを〝幸か不幸か〟 と問われれば、〝大いに不幸〟だと私は思う。
結局、インド、フィリピンのように、現地語と英語を公用語とする 国に日本はならなかった。

表記法の若干の整備と、漢字の旧字体から新字体への整理(例:國 → 国)と、使用漢字数の制限(当用漢字、現 常用漢字)こそ成されたが、日本語は変わらずに日本語でいる。

 インド人僧侶が中国経由で渡日する過程で、漢字で表記し直したインド名
 漢字で書かれた仏経典の今に伝わる読み方
 能楽での発声
等々から、古代日本語の発音にせまる研究手法は、科学的で説得力がある。

本夕、読了。

50音表の、あ行 と や行 と わ行、
 あ い う え お
 や
 わ ゐ ゑ を 
の、
 い と と ゐ
 う と
 え と と ゑ
 お と を
のそれぞれの発音は違う。
ただし、い の発音だけは証明に足る裏付け資料が未発見なのだとか。
仮に い がなくとも、古代人は我々現代人よりも、多くの発音数を持っていたことになる。

話は元に戻る。
志賀直哉は、
 「フランス語を国語とするべき」
と主張したと本書にある。

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コメント

母国語のほかに公用語(英語ほか)の多言語を使う国は多いのでしょう。
これからの時代、学校教育ではなくもっと生活に近いところから、日本でも必須なのではないでしょうか。
とはいえ、
日本語の美しさに惹かれて学んでいるという海外の人たちもいるようです。
私も、日本語の余韻や音の響きが大好きです。
スマホや翻訳機(pcでも)が実現した現代、日本語しか知らない私にも、何とか世界とコミュニケーションを取ることは可能になったようにも思います。

投稿: めりー | 2022年12月 7日 (水) 05:34

めりーさん、こんにちは

中国のTV番組には、字幕が付きます。
標準語(北京語)と上海語とでは、方言とは言えないほどの差があるのでそれが必要となるわけです。
スイスの公用語は、ロマンシュ語・ドイツ語・イタリア語・フランス語の4つ。
そんな国もありますね。

ヒトは言葉を話せるように生まれついているという説があるそうですが、言語は難しいですね。
〝そこそこ〟使える翻訳ソフトが、〝十分〟に使えるという時代が我々が生きている時代に実現しそうな気がします。
そんな時代が待ち遠しいですね。

投稿: KON-chan | 2022年12月 7日 (水) 08:07

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