『生物たちのハイテク戦略』を読む
大腸菌。
移動は、体から出ている細長い組織(鞭毛:べんもう)を使う。
鞭(むち)とは書くが、くねらせているのではなく回転させている。
新体操のリボン種目のようにクルクル回すのとは違う動作原理。
電動機軸のように本体との直接の接触を必要とせずに、鞭毛の先っぽから根元まですべてがクルクル回る。
鞭毛モーター。
電動機の回転子は、固定子との間での電磁気力でクルクル回る。
鞭毛は本体との間の化学力でクルクル回る。
関与するタンパク質は200種。
鞭毛モーターを構成するパーツは30個。
〝進化論〟は、長期間・徐々・自然選択がキーワード。
しかし、鞭毛モーターに そんな悠長な〝進化論〟は通じない。
鞭毛モーターが機能するには、この30のパーツが一挙に同時に出来上がる必要がある。
こんな喫茶店で読み始め。
カッコウの仲間は托卵する。
托卵された卵は托卵先の卵より必ず先にふ化する。
そして、ふ化直後でまだ目も見えていないのに、托卵先のふ化前の卵や遅れてふ化してきたヒナを巣から落とし、里親が運ぶエサを独占する。
ところが、托卵先にされたトリが擬態卵を見分ける力を得、自分のものではない卵を巣から排除したり、巣そのものを放棄するようになったと。
カッコウが托卵先とするトリは、モズ。ホオジロ、オナガなど二十数種。
托卵するカッコウの多い地域では、里親種に托卵拒否行動が広がっているという。
カッコウはカッコウで托卵先を開拓。
オナガへの托卵は最近のこと。
そのオナガに、托卵拒否行動が見られだしたという。
本夕、読了。
最近、カッコウがオナガへ托卵することが発見され、さらに最近、オナガの托卵拒否が始まったのは、本書に書かれていること。
托卵先の拡大・托卵拒否は、循環なのか一本道なのか。
その時間をさかのぼるとどうなのかについて、本書には書かれていない。
カッコウの托卵は、今から1千年、1万年前に始まったことではないだろう。
何百万年も前からカッコウは托卵していたはず。
ヒトが観察する程度の時間間隔で托卵先の拡大・托卵拒否が言えるのであれば、1万年前、10万年前、100万年前のカッコウの托卵先は、どんなトリだったのだろう。
1000年前だっていい。
現在の托卵先と違うのならば、著者の論調は正しい。
現在と変わらないのであれば、托卵先が拡大しているわけでも、その原因が托卵拒否でもないだろう。
ヒトが観察しきれていなかっただけ。
私は、後者だと思う・・・
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