『砂戦争』を読む
中国のコンクリート消費量は、年に25億トン。
米国が20世紀の100年間に使ったコンクリートの総量は45億トン。
米国が100年かけて消費した量を、中国は2年を経ずして生産し、築港、護岸、ダム、ビル、舗装へと消費する。
これは、中国の急速な発展の証でもあるし、中国の建設能力の高さの証でもあろう。
その証拠に、地上高が300メートル以上ある超高層ビルは、世界に178本。
内、半分、88本が中国に建つ。
著者は、環境問題研究家。
新聞記者、国連職員、外交官、130ヶ国以上で調査・研究、国内外の大学で講義した経歴を持つ実務家で かつ教養人。
こんな喫茶店で読み始め。
現代の高層建築の構造を成り立たせ、強度を担っている主要部材は鋼材。
が、基礎・地下部分はもちろん、高層階でも床材はコンクリート。
コンクリートは、セメント1に対し、砂を2~3、砂利を3~4。(重量比)
それに水を加えて練る。
その砂や砂利のことを骨材(こつざい)という。
本書では、この骨材のことを〝砂〟という言葉で代表させている。
世界で採掘される砂は、年に500億トン前後。
この7割がたが建設用コンクリートの骨材になる。
この500億トンという数字は、世界中の河川が1年間に運ぶ土砂量の2倍に相当する。
つまり、我々は自然が供給する以上の砂を消費していることになる。
国内では、良質の砂の入手は困難になっている。
甲子園の砂は、中国産
東京五輪ビーチバレーコートの砂は、ベトナム産
本夕、読了。
現在でありながら、すでに未来都市なのは、東の上海と西のドバイ。
中東の砂漠の国際都市、ドバイ。
地上高828メートルのブルジュ・ハリファタワーと、ペルシャ湾の人工島、それとゴルフ場のジュメイラ ゴルフエステーツが有名。
砂漠にあるゴルフ場なのに、バンカーの砂は米国から。
砂漠の砂だとサラサラしすぎて、ボールが沈んでしまうのだと。
コメント
砂にもいろいろあるんだろうと思いますが、砂も資源枯渇状態なんですね。
昨日、クラブの某氏が「子供のころはこの辺り一帯は海だった」と言っていました。絵鞆の辺りが埋め立てられていたとは知りませんでした。
埋め立てに砂は必要でしょうか。
山を削って石。砂は、どこから?
今では通い慣れたルートにありますが、イタンキの鳴き砂を歩いたことがありません。あれも失われつつあるとは聞きますね。
投稿: めりー | 2022年8月14日 (日) 03:30
めりーさん、こんにちは
あの辺りは海で、海水浴場だったと聞いています。
イタンキの鳴き砂は有名で、本書内にも出てきます。
骨材に適した砂は先細りにあり、それの獲得を狙って、各国が動いています。
『砂戦争』というのはそのことで、シンガポールにいたっては国家備蓄までしているのだとか。
ところで、コンクリートの固まる仕組みは〝水和反応〟によるものだと言われていましたが、本当のところはよくわかっていませんでした。
これが完全に解明されたのは、つい最近。
2016年になってからということが本書に書かれています。
投稿: KON-chan | 2022年8月14日 (日) 14:59