『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』を読む
垂直跳びの得意な遊牧民のマサイ族。
彼らの主食は牛乳と牛の生き血。
ルーマニアのドラキュラ伯爵も美女の生き血を吸うが、こちらは創作。
鳥類、1万と6百種。
このうち、吸血の記録があるのは、ガラパゴスに棲む3種とアフリカ南部に棲む2種の計5種。
ところが、著者は日本にも血を飲むトリがいることを知り、第6種目の吸血鳥を発見したと論文にする。
動物園で飼育されているニホンジカの背中をつついて皮膚を傷つけ血を飲んでいたのは、ハシブトガラス。
私の船上食の菓子パンを、2回も3回も、いや、4回も盗った あのハシブトガラスだ。
しかし、この論文は学会誌への掲載を拒否される。
理由は、生物学会誌には未発表だが、畜産業界誌には既に吸血するカラスのことが発表されていたから。
カラスが乳牛の乳房に浮き出ている血管を傷付けて吸血。
それを病因とする敗血症などで死に至る牛さえ出ていることが、北海道などの畜産業界で問題になっていたことを著者は知らなかった。
著者は、林学を学んだあとに、鳥類学に進んだ生態学者。
こんな喫茶店で読み始め。
小笠原諸島。
諸島北側(日本本土寄り)が、有人島のある小笠原群島
諸島南側(赤道寄り)が、無人島群の火山列島
ここに固有種のヒヨドリが棲む。
小笠原群島に、オガサワラヒヨドリ。
火山列島に、ハシブトヒヨドリ。
トリの渡りは、南から北へ、北から南へ。
日本から遠い側の火山列島に棲むハシブトヒヨドリは、本土・伊豆諸島由来。
と、渡りの原則通り。
なのに、本土に近い側の小笠原群島に棲むオガサワラヒヨドリが、小笠原群島と同緯度はるか1800キロ西の八重山諸島由来と、渡りの方向が東西。
この原則破りの渡りを、著者らはDNA分析から明らかにする。
で、小笠原群島と火山列島間距離は160キロ。
しかし、この2種に遺伝的交流のないことも、著者らの研究で明らかになる。
本夕、読了。
みたいな、ヒヨドリの説明があるかと思えば、
上半身がヒト、下半身がトリ、背中から翼。
極楽浄土で鳴く、〝迦陵頻伽(かりょうびんが)〟。
ヒトのオンナの体に、手足先は猛禽類、後頭部から翼。
永井豪の漫画『デビルマン』に登場する、〝妖鳥シレーヌ〟。
森永のチョコボールのパッケージに描かれているトリの、〝キョロちゃん〟。
なども、本書内で話題にあがる。
コメント
夏の室蘭の海には、いろんな鳥がいますね。
岩礁帯にいると、頭上を沢山のツバメたちが鳴きながら旋回しているのを見て夏の海だなあ〜〜と感じます。
ただ、やっぱり落とし物をされるんじゃないかと気になりますね。
他の海に行くことがめっきり少なくなりましたが、室蘭の海は鳥が多いように思います。
投稿: めりー | 2022年8月 6日 (土) 11:44
めりーさん、こんにちは
沖に行く前に、船のフロントガラスに白くこびりついたカモメかカラスかのフンをこそげ取らなきゃならないことがありますね。
トリのフン、バカにできません。
地質学的時間を経過して化石化した大量のトリのフンを、グアノと言います。
グアノ鉱山と言われるほどの規模の化石フンです。
肥料に加工できます。
ペルーはこのグアノの採掘・輸出で食っていた時代があるほど。
秋が深まると、絵鞆岬から南に渡るヒヨドリを見ることができます。
幾つもに群れて、何日かに分かれて海面を這うようにして渡っていきます。
ツバメはいつの間にか渡ってきて、いつの間にか渡っていきますね。
投稿: KON-chan | 2022年8月 6日 (土) 23:11