『古代中国の24時間』を読む
本著者は、中国古代史の研究者。
著者は、
中国古代史々料はそれほど多くなく、主要なものは
1500万字程度。
それは、本書(324ページ)100冊分くらいの
漢文に相当し、まともな研究者なら10年もかけれ
ば読み通せる。(注)
と書き、
そこに描かれている民の日常生活をおおまかにまとめ
て説明することは、歴史学の研究として許容されるべ
きことであるまいか。
と、言う。
更に、遺跡・遺体・木簡・竹簡などを含め、あたうかぎり最新の学説をフォローして本書を執筆した旨を表明する。
中国古代朝の大雑把な年表は以下。
私の頭の整理用。
BC2700ー2183三皇五帝
BC2183ー1751 夏
BC ー1050 殷
BC ー1111 商
BC - 770 西周
BC - 403 春秋
BC 403ー 221 戦国
BC ー 206 秦
BC ーAD 8 前漢
AD ー 25 新
AD ー 220 後漢
AD ー 265 三国(魏・呉・蜀)
以下、西晋・東晋・宋・隋・唐・元・明・清と続く。
本書でいう古代中国とは、いわゆる秦・漢時代のこと。
その説明を補足するために、それ以前の戦国 及び それ以後の三国時代についても触れられている。
中国におけるこの時代、日本は弥生時代。
こんな喫茶店で読み始め。
現代の官公庁・企業の高位役職者はよく働く。
ブツクサ文句を垂れタメ息をついているのは、しもじもの者たちばかり。
いや、逆かもしれない。
ブツクサ文句を垂れタメ息をついているような者は、高位役職者にはなれないだけのこと。
あァ、それはオイラのことか(^^;
ンな話は おいといて、古代中国の高級官吏もよく働いた。
最終決裁者の皇帝も同じ。
薄明から薄暮まで。
そんな彼らも酒を呑む。
当時の中国は、すでにアルコール度数3~5%の穀物酒・乳酒・ワインを醸造でき、後漢時代には それが10%にまで達していたという。
で、飲み食いする彼らには、強い酒と脂の乗った肉の過飲・過食が肥満・痛風・糖尿病の原因になると危険視する認識があったと。
中国医学三千年。
と、現代中国人が胸を張るだけのことはある。
が、庶民は1日2食だったが、皇帝・貴族らは1日3食から4食。
もっとも、庶民に ねたまれるということで、政治家の食事は質素だったようだ。
本夕、読了
現代中国人女性に、ワキ毛を処理する習慣はない(らしい)。
ところが、発掘された古代中国人女性のミイラにはワキ毛がないという。
古代中国女性は、ワキ毛を処理する習慣があったようだ。
また、現代中国人は家の中も靴履き生活だが、古代中国においては靴を脱いでいた。
トイレ。
今の中国のホテルやレストランや空港のトイレは、欧米・日本と同様。
しかし、かなり近代的オフィスの従業員トイレでも、水洗化こそされてはいても 個室化されていない いわゆるニーハオトイレが珍しくない。
かつ、しゃがんで用を足す便器。
古代中国では、腰掛式便座があったことが写真を付けて書かれている。
本書、それらこまごました古代中国人の24時間を説明するのに付けられた注記(出典)は大変に多い。
その数、891。
(注)
私も参加しての日本人と中国人による会議は何度か経験している。
その会議々事録、中国人の作るものは日本人の作るものの半分くらいの文字数になる。
漢字にはそれだけの力がある。
だから、
漢字で1500万字程度なら、日本語なら3000万字
著者が言う100冊分の漢文というのは邦文で200冊分
と読み替える必要がある。
コメント
宮城谷昌光の著が面白くて再読しているところです。箕子に着目して商の帝辛の時代を描いたもので、商から周へ移り変わるころです。
その頃は、古代中国のさらに遙か遙か前になるんですね。
著者は漢字に惹かれやまない人のようですが、本文には平仮名が多く(特に後半)「ささやく」「それをみた」「おもいだした」など日常使う漢字にも平仮名をあてて書いています。
難しいことは判りませんが、文字には風情があります。漢字の風情、ひらがなの風情。雰囲気、フレーズの持つ空気感。著者のこだわりなんだろうなと思います。
それにしても中国の歴史の長いこと。
我々の人生の、何と短いこと。
この文庫本は、余市の公民館で「ご自由にどうぞ」と置いてあったものを拝借しました。表装も無く年季の入った古本ですが、いい拾い物をしたと思っています。
投稿: めりー | 2022年6月 9日 (木) 05:02
めりーさん、こんにちは
私の作った年表から「殷」が抜けていることに、めりーさんからのコメントで気付きました。
作り変えました。
下一桁まで年を書き込んでいますが、研究者によって諸説あって、「殷」までは±数十年くらい誤差がありそうです。
お読みになったのは『王家の風日』でしょうか。
宮城谷昌光の著書は読んだことはありませんが、「箕子」は朝鮮の歴史家にとってはやっかいな人物のようですね。
津軽鉄道(津軽五所川原駅ー津軽中里駅)に乗ったことがあります。
ここには『走れメロス号』と『太宰治号』が走っています。
この車両の運転席右側には書架があって、太宰治の著作が並んでいて自由に読むことができるようになっています。
誰も読みませんが(^^;
ニセコに有島記念館があります。
ここでも有島の著書を「ご自由にどうぞ」としていたことがあります。
誰も持っていきません。
「いい拾い物をした」というのは幸せなことだと思います。
投稿: KON-chan | 2022年6月 9日 (木) 08:19
歴史年表と言うのでしょうか、これは貴殿の頭に入っているんですか??
おっしゃるとおり「王家の風日」です。
著者が著者の立場で書いているのが、全くの架空の話しではないと思われて面白いです。
あまり作家で選ぶことはしないのですが、大好きな作家がいます。彼女の作品を書店で探すと最近の物はまず見つけることができません。
それを自身でも書いていて、ちょっと独特な作風なので受け入れられにくいのだと。私のような作家は本という形で発表できなくなるように思うと。
(そんなことはなく、最近でも幾つかが書籍化されているのですが)
棄てる人もいれば、それを拾う人もいるものです。
価値は自分のものですね。
投稿: めりー | 2022年6月 9日 (木) 15:43
年号までは頭に入っていませんが、王朝の順番くらいはウロ覚えで。
インド史よりはずっと複雑ではないです。
ところで、オーストラリア人は自国史をどう学んでいるんでしょう。
英国史も学ぶんでしょうね。
何せ、オーストラリアは英連邦王国の一員だし、君主はエリザベス二世ですものね。
殷や商の時代のことを読み物化しているのは、宮城谷昌光くらいじゃないかと。
って、私ははるかに時代の下った吉川英治の三国志と、横山光輝の漫画の三国志の初めのほうだけしか読んだことがありませんが。
私は背表紙。
背表紙だけを見て本を買います。
長い小説はもうダメ。
トルストイだとかモーパッサンだとか森鴎外だとか夏目漱石だとかも読めなくなりました。
私は価値を自分で棄てているようなものです(^^;
投稿: KON-chan | 2022年6月 9日 (木) 17:36
ウロ覚えでもすごいですね。
インド史など全く触る機会もありません、めちゃくちゃ複雑なんでしょうか。。怖い
日本の歴史だって、よう判っていません。
殷や商の時代、あまり題材にしている人はいませんか。
なかなか興味深いと思います。
飛鳥時代の日本を題材にした小説が気に入って、何度も読み返してぜんぜん次に進めずにいますが、ええと商のころというと日本でいつくらい?
弥生時代って、もっと前でしたっけ。
トルストイとかモーパッサンなど、読んだこともありません。
鴎外も覚えが無いなあ。漱石は触りだけ。
貴殿のほうがよっぽど難解なところを通って来ていますね。
価値は変動します。
一度かじったものであれば、それは経験値ですね。あれっ、どこかで話しが戻りましたか。
投稿: めりー | 2022年6月 9日 (木) 21:21
我々が中学・高校で習う「世界史」はヨーロッパ人の視点。
アフリカ史・中南米史なんて習いませんものね。
文字のない民族の歴史は、学問に乗せづらいですから。
商なら、日本ではまだ縄文の時代。
前漢の頃あたりまでが縄文時代ですね。
卑弥呼が没したのが三国時代。
まだ弥生時代です。
飛鳥時代は遣隋使や遣唐使の時代。
だから、その頃の中国は、隋や唐ということになります。
トルストイとかモーパッサンとかは知ったかぶって名前を書いただけ。
読んだことはありません。
経験値とな。
『光の量子コンピューター』を読む にまで戻りましたね(^^;
投稿: KON-chan | 2022年6月10日 (金) 00:35