『眠れなくなるほど怖い世界史』を読む
本書の出版会社は三笠書房。
著者はフランス文学を学んだヒト。
当該出版社・著者に限らず、頭に〝眠れなくなるほど〟を付けた出版物は多い。
〝詳説〟、〝概説〟、〝よくわかる〟等々を頭に付けるのと同じ気分での命名なのだろう。
本書に書かれているのは、歴史上の事件・人物の裏話。
ネットで拾った話を並べて1冊に仕立てたというようなところはなく、裏付け文献は確か。
この類の本に多い いいかげんさはなく、著者の私見は私見と ことわって書かれている。
内容が信用でき、銘打たれているように、〝眠れなくなるほど〟に面白い。
まァ、面白いと感じるのは、私の覗き見趣味、ゴシップ趣味ゆえ(^^;
こんな喫茶店で読み始め。
大恐慌(1930年代)の米国で、若い男女のクライドとボニーが出会ってからの4年間に犯したのは、12件の銀行・商店強盗と、銀行員・商店主・警官など計13人の殺害。
その犯行史実をベースに脚色映画化されたのが、『俺たちに明日はない』。
ベージュ色の32年式フォードV8の外に降り立ったクライドと、助手席に座ったままのボニーが警官たちに全身に銃弾を撃ち込まれるシーンで、この映画は終わる。
ウォーレン・ベイティ演ずるクライドとフェイ・ダナウェイ演ずるボニーの短い生涯を描いたこの映画は、ドライで熱く哀しい。
米国の警察組織は地方自治体ごと。
「犯罪者の捕縛は罪を犯した州内においてのみ」
州境を越えて、それも最新式のフォードV8で逃げ去るのが犯行後のクラウドとボニーの逃走手口。
その鮮やかさに、彼らにはファンさえ付く。
検視前の遺体に集まったファンは、数百名。
そのファンがやったのは、クラウドとボニーから記念品を奪うこと。
血まみれの服を破り取り、髪を切り取り、引き金を引く人差し指を切断しようとする者も。
クラウドとボニーの遺族は、遺品を高値で売りさばき大もうけしたという。
本夕、読了。
米国初代大統領はジョージ・ワシントン。
彼は当時の歯科技術では進行を止められなかった歯周病に苦しみ、大統領の座に就いた時には自分の歯は1本しか残っていなかったそう。
時に、1789年、ジョージ・ワシントン57歳。
彼の持っていた入れ歯の人工歯は、象牙、カバ・セイウチ・ヘラジカのキバから作られたもの。
いや。
人工歯だけでなく、本物の人間の歯も。
彼は大農園主で400人からの黒人奴隷を所持。
麻酔のない時代、その奴隷たちから健康な歯を抜いては、自分の入れ歯に使っていたという。
ワシントンは独立戦争の司令官。
独立戦争の英雄のワシントンは、後に起きた北西インディアン戦争でイロコイ族を虐殺させ、その尻の皮でブーツやレギンスを作らせている。
以上も本書から。
最強通貨はドル。
その1ドル札に描かれている肖像は、口を真一文字に結んだジョージ・ワシントン。
入れ歯は見えない。
コメント
こんにちは。
今週末の海は穏やかそうですね。
ボニー&クライドの詳しいお話し、興味深く拝読させて頂きました。
3年前にネバダ州のプリムにあるホテルに展示されているフォードを見てきました。銃弾の跡が多数ありました。
プリムは観光地ではありませんので、フォードを見た後はカリフォルニアのサンディエゴに車を走らせました。
サンディエゴは釣りが盛んなところのようで、夕方から大型フィッシングボートが多数出ていました。
お気をつけて釣を楽しんで下さい。
投稿: 石本紀行 | 2022年6月 1日 (水) 14:37
石本さん、こんにちは
はじめまして。
コメント、どうもありがとうございます。
たくさんの銃弾跡のあるフォードV8を見てきましたか。
映画のフォードV8はベージュでしたが、実際のフォードV8は黒ではなかったですか。映画のラストシーンと違い、実際には二人とも車から出ることなく撃たれたようですね。
サカナ釣りもいいですが、こんな、毒にはならないけれど薬には決してならない本を読むのも私向きの時間の使い方です(^^;
ところで、石本さんは、車で北アメリカ大陸を横断されたんでしょうか。
バニシング・ポイントを思い起させるようなルートです。
投稿: KON-chan | 2022年6月 1日 (水) 20:55