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2022年5月20日 (金)

『物理学者のすごい思考法』を読む

著者は、現役の理論物理学者。
物理学に限らず、何かを成した人、何かに秀でている人の、我々凡人に対して言うこと書くことはユニークだし含蓄に富んでいる。
頭に相当な余裕があるからだろう。

本書名は『物理学者のすごい思考法』。
著者自身がどんなにうぬぼれ屋であろうと、自分自身でこんな書名を付けるはずがない。
書名は、本を売らんがために編集者がひねり出したものだろう。

内容は、物理学者の日々をつづったエッセイ集。

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こんな喫茶店で読み始め。

花を見て、綺麗だと思う。
著者はそれを、葉が一様に単調な緑色なので花の色を引き立てているからだ、と考える。
さらに、なぜ葉は緑色かと。
葉が緑色なのは、太陽光中の緑色だけを反射し、その他の色の光を吸収しているから。
もちろん、光合成を緑葉体で行っているからなのは、誰でも知っている。
調べてみると、〝太陽からの光のうち、強すぎる緑色で植物がダメージを受けないようにしている〟との生物学研究所の論文を著者は知る。

ここからが物理学者らしい。
太陽の表面温度の6000℃から、最も強い光の波長を計算する。
マックス・プランクの黒体放射の式を使っての計算結果は、500ナノメートル。
この波長は、緑色。

他の恒星系に生まれていたら、生物の色は違っていただろう。
そう考えながら、ベランダから見る木々の緑に心を奪われる。
と、著者は書く。

本夕、読了。

左から右上へと昇る朝日を見て、著者は地球の自転軸を感じる。
随分前のこと、私にもあった〝すごい思考法〟。
KON-chan号上から、沈みゆく夕日を見て著者と同じく地球の自転を感じたことがあった。
あゝ、でもそれは、『バカ釣り師のすごい思考法』(^^;

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コメント

葉が一様に単調な緑、という言い方には大いに反発します。
春を終えた新緑の色の豊かさ。
メキシコの高地に育つ植物は、強すぎる日射しから我が身を守るために真っ白い粉をまとっています。
葉自体も緑とはいえないほど、白により近い色あいです。
お日さまは全ての生命に必要であると同時に少しでも強いと損傷になる、適当というのは難しいですね。
お日さまや星は、季節を教えてくれます。でも、宵の明星が見えるころには帰港したほうが良さそうに思いますが(差し出がましく)

投稿: めりー | 2022年5月21日 (土) 17:43

めりーさん、こんにちは

近似、抽象化は物理学者の常なのだと。
「あそこに見える〝牛〟を〝球〟に近似すると・・・」という言い方に、物理学者は違和感をおぼえないようです。
〝牛〟を〝球〟に近似できるのですから、多少の色の違いはnegligible small。
ゆえに、すべての葉っぱは緑と。
著者は、太陽の表面温度から緑色の波長を算出したよ、ってことを言いたいだけでしょう。

私の皮膚は太陽のどの波長に侵されているのか。
日焼けで、顔の皮が浮いてきて白い粉を吹いています(^^;

投稿: KON-chan | 2022年5月22日 (日) 00:27

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