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2022年5月21日 (土)

『日本語の大疑問』を読む

本書は国立国語研究所(国語研)に寄せられた質問に、37人の専門家が回答してゆく体裁の本。

国語研の研究対象は日本語のみではなく、本書で触れられているだけでも、英・仏・独・露語から、手話、絵文字までも。
言葉の研究者たちの、何と楽しく生き生きとしていることか。

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こんな喫茶店で読み始め。

ミュールとは、女性用のファッショナブルなサンダルこと。
フランス語の mule からの借用。

本書では、日本語の〝下駄:げた〟がフランス語に借用された場合のことについて述べ、日本語が外来語を受け入れやすい構造を持っていることに言及する。
ヨーロッパ語の多くは、名詞に〝性〟を持つ。
フランス人にとっては、〝下駄〟は男性が履くものというイメージから〝男性名詞〟扱い。
かと思うと、ラテン語で〝a〟で終わる単数名詞のほとんどは〝女性名詞〟。
なので、〝下駄〟は〝女性名詞〟扱い。
と、〝男性名詞〟なのか〝女性名詞〟なのか認識が共通化してないらしい。

〝太陽〟は男性か女性か。
 仏語では、男性
 独語では、女性
 露語では、中性

で、〝月〟は〝太陽〟の逆で、
 仏語では、女性
 独語では、男性
 露語では、中性、かと思いきや 女性。

本夕、読了。

履歴書を10以上書いた。
そのうち3を郵送した。
とするのがしっくりすると本書。

は漢語で手紙・文書などを数える言葉。
は漢語で手のひらに隠れる程度の写真・名刺などを数える言葉。
は平らな形状のものなら、材質・大きさ・厚さを問わず何にでも、切手・布団、田畑にさえ、と。

しかし・・・
カレイをで数えるのは本書の説明で分かるが、ヘラブナ釣り師も釣果をで言うのは納得できない。
相撲の番付もで言う。
ヘラブナも相撲の番付も〝平らな形状〟とは言い難いが・・・(^^;

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コメント

大学でドイツ語が必修でした(もう微塵も脳みそに残っていませんが)
男性名詞・女性名詞の存在意味がさっぱりわからず、よってどれがどっちなのか全然覚えられずに降参しました。
ヘラブナを「枚」は、何となく判る気がします。ちょっと平べったいです。
番付は、何か由来がありそうですね。
私は何となく、ホッケを「本」と言ってみることがありますが、あれは間違っているのかな。
船を「杯」と数えるひとがいますね。
間違っていたとしても通じるので支障はありませんが、研究者にしてみたら大きく赤バッテンしたいところでしょうね。

投稿: めりー | 2022年5月22日 (日) 03:55

めりーさん、こんにちは

国連の公用語は、英語・フランス語・ロシア語・中国語・スペイン語・アラビア語の6つ。
敗戦国の日本語・ドイツ語・イタリア語は永遠に国連の公用語とはなり得ませんね。
日本では、
 医歯薬工はドイツ語
 理はフランス語
の履修が標準のようです。
最近の工学部では中国語を選択する人も多いようですが。

外国語を受け入れるのに発音をカタカナで表せば済む日本語と違って、ヨーロッパ語では「性」だけでなく、品詞によっては「語尾」まで決めなくてはならず、大変な面倒さがあるようです。

船を「杯」で言うのは、玄人ぽくって、いいなァ。
黒船来航時の大騒ぎをうたった狂歌に、
 泰平の眠りを覚ます上喜撰たつた四「杯」で夜も寝られず
とあります。
宇治茶に今でもある上喜撰。
それに蒸気船をかけてます。
また、帝国海軍では軍艦を「杯」で数えています。
帝国海軍では、自軍の艦艇を数えるのに「杯」を使い、敵船には数詞を付けなかったよう。
「敵艦隊北上中。 空母2、駆逐艦6」みたいに。

盛り蕎麦や波を「1枚」・「2枚」と数えるのはしっくりきます。
ヘラブナの「枚」はそうですかァ。

ホッケは「本」でも「尾」でも「匹」でもいいように思います。
サケ・マス・ブリ・ハモ(アナゴ)・タラも「本」を使えますが、サバやサメにはどうかなァ。

ところで、ついさっき気付いたのですが、「はひふへほ」が関わる数詞の使い方は不思議です。

1台・2台・3台、・・・、1個・2個・3個、・・・と、たいていの数詞は数字が変わっても「台」は「ダイ」、「個」は「コ」。
ところが、
 1パイ・2ハイ・3バイ・4ハイ・5ハイ・6パイ
 1ピキ・2ヒキ・3ビキ・4ヒキ・5ヒキ・6ピキ
時間や角度の「分」だと、ハイ・ヒキの法則性が崩れて、
 1プン・2フン・3プン・4プン・5フン・6プン
著作物数などの「編」も同じく、
 1ペン・2ヘン・3ペン・4ペン・5ヘン・6ペン
で、初めに戻って、
 1ポン・2ホン・3ボン・4ホン・5ホン・6ポン

何が不思議かというと、
「はひふへほ」はクチビルを閉じず発音できます。
ところが、「ばびぶべぼ」も「ぱぴぷぺぽ」も発音の際、クチビルを閉じる瞬間があります。
「はひふへほ」と、「ばびぶべぼ」・「ぱぴぷぺぽ」は、「あいうえお」と「らりるれろ」くらいの違いがあるような。
あゝ、「ばびぶべぼ」・「ぱぴぷぺぽ」は「まみむめも」と同じクチビルですね。

日本語を学んで3年目くらいの外国人と釣りをしてみたいですねェ。
私、「イケスのサカナ何ビキになった? 数えて」
日本語を学んで3年目の外国人が、はたして、
「1ピキ・2ヒキ・3ビキ・4ヒキ・5ヒキ・6ピキ・7ヒキ・8ピキ・9ヒキ・10ピキ」
と数えられるものなのかどうか。

投稿: KON-chan | 2022年5月22日 (日) 08:57

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