『視覚化する味覚』を読む
デパート1階、正面入り口から入ってすぐは化粧品売り場。
春には春色の
夏には夏色の
秋には秋色の
口紅が、TV‐CMに流れなくなって2年。
2020年、対前年比較で売り上げが落ちた一番の日用消費財は口紅なのだそう。
'19年の半分以下の売り上げ、56パーセント減。
まゆ墨やマスカラの売り上げは10パーセント減と それほど落ちなかったことを考えると、リモートワークや外出自粛のせいよりも、マスク着用の半強制化の影響が大きい。
口紅の赤。
だが、マスクに白、黒は見るが、赤は見ない。
こんな喫茶店で、読み始め。
谷崎潤一郎の〝すまし汁〟を語った文章
夏目漱石の〝ようかん〟を語った文章
を取り上げ、食べ物と色の話が始まる。
流れ作業方式の代表格のように言われる20世紀が始まってすぐ生産されたT型フォード。
標準化のために、「T型フォードは黒である限り、どんな色でも揃えている」、つまりT型フォードは全て黒であるとした。
その米国で、果物の色、バターの色が議論される。
目がいやしい
目で食う
という言葉がある。
盛り付け方、色の使い方で料理がウマそうに見える。
緑のピーマンだけよりも、黄や赤のパプリカ(カラーピーマン)が少し混じるとウマそうに見える。
ダイコンのツマの白だけよりも、ニンジンの橙、大葉の緑が少しあしらわれると、刺身が映える。
本夕、読了。
その対極。
色のない食べ物もある。
おでん
モツ煮込み
匂いかなァとも思うが、
ざる蕎麦
となると、説明できない。
コメント
おはようございます。
お料理の色どりって大事ですね。そうは判っていても、茶色いお食事が大好きです(つまりカロリーいっぱいのお食事)
一時期、染料を使って布の手染を楽しんでいました。
自分で染料をブレンドして勝手に色を調合して、勝手に和色名で呼んでいました。
ニンジン色とだいだい色は色味が違います。その微妙な加減と、和名の響きが好きです。
和名には由来のあるものもあり、例えば黄丹(おうに)はニンジン色に近い色味ですが、登る朝陽の色を映したとして皇太子の装束に用いられたとされています。
そんな話しを知るのも楽しかったり。
ニンジンだって、産地や時期・品種で色味が違いますしね。
投稿: めりー | 2022年2月 2日 (水) 07:52
めりーさん、こんにちは
いろどりなんて言葉がありますもんね。
ヒトだけが、調理・加工した飲食物を口にします。
いろどり、匂いを味あわずしては、飲み食いの楽しさを大いに減じるというもの。
箱根駅伝のタスキの色とか、大相撲のマワシの色とかNHKのアナウンサーは色名をよく知っています。
めりーさんは〝影〟を撮ることを職業とされていますが、色にご関心が強そうで。
今は、色もデジタル対応表現。
黒は、16進法表示だと、♯000000。
RGBだと、R:0 G:0 B:0。
白は、♯FFFFFF、R:255 G:255 B:255。
黄丹は、♯EE7948、R:252 G:089 B:000 となります。
ちょっと脇道。
羊蹄山々頂に至るコースは4つ。
その一つの京極コースは、登りに取り掛かる前に、ニンジン畑を左に見て1kmほど農道を歩きます。
秋、ニンジンの収穫期にここを歩くと、運搬車からこぼれ落ちたニンジンがそこここに落ちているのを見ます。
日光は背中から。
秋の日射しに伸びた自分の影を追って歩きます。
そこにニンジン色。
これがいいンです。
投稿: KON-chan | 2022年2月 2日 (水) 11:13
どの分野でも再現性が求められるんでしょう、デジタルだとそれが可能です。
天邪鬼な私は、再現性の低いニュアンスカラーが大好きです。ほんの一瞬、このシチュエーションだからこそのグラデーション。
秋の朝陽に伸びた貴殿の長い影、その足元のニンジンの短い影。
きっと同じ濃さではないでしょうね。いい色合いだったと思われます。
投稿: めりー | 2022年2月 2日 (水) 15:38
さすがと言おうか、やはりと言おうか、星の写真家らしいコメントをいただき、どうもありがとうございます。
RGB三原色の混合割合は各色1/2^8の精度です。
この程度の精度でダマされるほど、我々の目は濁っていません。
そもそも、16進表示法にしろRGB表示法にしろ発色面の定義。
我々の網膜がどうそれを見ているかの情報ではありません。
暖かい部屋で見る♯EE7948と、冬の北西風に吹かれて見る♯EE7948は決して同じではないでしょう。
音に色を感じる人がいます。
どころか、文字や数字に色を感じる人さえいます。
ニンジンの収穫期、何時間かの発汗の末に立つ山頂で、私は透明な空気に色を見ます。
投稿: KON-chan | 2022年2月 2日 (水) 19:27