『サギ師が使う悪魔のロジック術』を読む
奥州藤原氏のもとへと都落ちする義経一行。
安宅の関の関守が、山伏装束の弁慶に、勧進帳を読めと命じる。
勧進帳など持っていない弁慶が、フトコロにあった巻物を広げ、あたかも勧進帳のごとく朗々と読み上げる。
歌舞伎十八番のひとつ、『勧進帳』の見せ場。
「ヨッ、はりまやッ!」
と、くるところ。
サギのようでサギではない。
関守は、一行が奥州へ落ちていく義経らだと知っている。
こんな喫茶店で、読み始め。
今の世。
今日もどこかで誰かが引っ掛かっているはず。
〝振り込めサギ〟
本書には、この振り込めサギ師らの手の内も書かれている。
本書、書名をキチンと書くと、
『サギ師が使う交渉に絶対負けない悪魔のロジック術』。
しかし、ヒトを説得しなければならない場、例えば、ビジネスの場、教育の場、布教の場などに適用・応用できる〝術〟。
いや、順序が逆だ。
ビジネスの場、教育の場、布教の場などで使われている説得術・交渉術を、サギ師らが使う。
本夕、読了。
1938(昭和13)年、〝水を石油に変える技術〟を考案したとの触れ込みを信じたのが時の海軍次官山本五十六。
その実験を指示、高級幹部軍人らの見守る中、水から石油ができる。
考案者には多額の報酬が支払われ、工業規模の装置建設が企画される・・・
が、これがとんでもないトリック。
サギ。
何よりも面子・プライド・誇りが優先する海軍高官らが手玉に取られたわけで、敗戦後になるまで隠されていた事件。
左を見たままで、右にパスを出す。
右にステップを踏んで、左に抜ける。
強打と見せて、力を抜く。
フェイント。
サッカー、バスケットボールのプロプレーヤーでも引っ掛かる。
誰もがサギに引っ掛かるのではなく、結局は、ダマされるヒトだけがダマされる。
本書名、
『サギ師が使う交渉に絶対負けない悪魔のロジック術』
だった。
〝絶対負けない〟というところからして、すでにサギ。
わざわざそれを読む私は、〝ダマされるヒトだけがダマされる〟の〝ダマされるヒト〟(^^;
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