『目の見えない人は世界をどう見ているのか』を読む
キミの見る三角も、ボクの見る三角も、三角は三角。
キミの見る楕円も、ボクの見る楕円も、楕円は楕円。
ところが・・・
キミの見る黄色も、ボクの見る黄色も、黄色は黄色・・・、とは言えない。
キミの見る茶色も、ボクの見る茶色も、茶色は茶色・・・、とは言えない。
樹間に隠された敵基地を探すのに、色覚異常者を乗せた偵察機を飛ばした、という話を読んだことがある。
また、背景色に溶け込む昆虫を見つける能力の高い色覚異常者がいる、という話を読んだこともある。
個々人が、色をどのように見ているかの確認は大変に難しい。
が、個々人が、形状・寸法・遠近・数量などをどのように見ているかの定量化は、それほど困難ではないだろう。
こんな飯屋で、読み始め。
晴眼者が、光さえも失った失明者の視界を経験するのは容易。
目を閉じればいい。
では、先天的失明者は晴眼者の視界を経験できるのか。
すぐ上で、私は、
晴眼者が、光さえも失った失明者の視界を経験するのは容易。
目を閉じればいい。
と書いた。
著者は、それを明確に否定する。
晴眼者が考える〝見えない〟ということは、そんな単純な引き算ではない、と。
失明者は晴眼者の視界を経験できるのか。
失明者も、
絵画を理解できる
絵画を鑑賞できる
ということが、著者によって証明される。
本夕、読了。
著者は、生物学者を目指して大学に入るが、三年次に文学部に転向。
以後、美学者として第一線研究者として活動する過程で、当初目指していた生物学と美学をクロス。
著者なりの〝身体論〟を開拓していく。
本書々名は、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』だが、書かれているのは、著者自身の現時点での〝考え方〟・〝方法論〟。
ところで、私が、最後に石原式色覚異常検査表(石原式色盲検査表)を使った検査を受けたのはいつのことだったろう。
コメント
何度か考えたことがある。私の見ている黄色と、他の人が見ている黄色は同じなのだろうかと。
おそらく、同じ人間だから同じに見えているのだろう。
でも、証明するのは難しいよな。。。って考えていた事を思い出した。
人によって、赤外線および紫外線の領域が
何処まで見えるかは、多少の違いはありそうだよね。
ガンマ線あるいは、電波域も見えたらおもしろいと言うより、何見ているか訳わからなくなるよね。
投稿: ja8oxy | 2022年1月14日 (金) 19:11
ja8oxyさん、こんにちは
そう、人の見る色。
波長〇▽◇nmの物理的に同じ色を見ていても、それを個々人がどのように感じているのかを確かめるのは難しいことです。
ゴッホはP型色覚異常で赤を感じにくかったというのはどうも確かなようです。
だから、ゴッホの絵は黄色いフィルター通して見るべきだという人がいます。
モンシロチョウは紫外線が見えるので、それで♂♀を見分けているようですね。
虹は7色。
それが定説。
しかし、ベルギー人は5色、米国人は6色と見るそうです。
私の目だと、7色までは分光できません。
5色くらい。
でも、石原式色覚異常検査表の検査では正常。
私の目はベルギー人の特性を持っているようです。
投稿: KON-chan | 2022年1月15日 (土) 00:14