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2022年1月 6日 (木)

『江戸の旅行の裏事情』を読む

著者は、日本近世史を専攻する歴史家。

江戸中期、1690(元禄3)年からの2年間、長崎の出島のオランダ商館に駐在した医師は、
 「この国(日本)はヨーロッパの都市の街路と同じくらいの人が
  街道にあふれている。彼ら(日本人)は非常によく旅行する」
と書き、自身も、1691年、1692年と2年続けて江戸までおもむいている。

同時期、伊勢松坂に住んでいた本居宣長は、1702(宝永2)年の4月上旬から5月末までの60日ほどの間の伊勢神宮の参宮者が362万人だったことを書いている。
1702年と言えば、日本の総人口が3000万人あるかないかだった頃のこと。

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こんな喫茶店で、読み始め。

副題は、『大名・将軍・庶民 それぞれのお楽しみ』。

大名の参勤交代は、城内暮らしの総移動。
調理人同行、米から味噌・醤油、はては水、さらには漬物石まで持ち歩いたという。
常在の環境と一緒の移動では、旅行とは言えないだろう。

将軍はと言えば、職に就いている間のほぼ全てが江戸城内暮らし。
武士たちには、隠居するまで、長期間の旅行の自由はない。
旅行の〝お楽しみ〟にあずかれたのは、庶民。

本夕、読了。

伊勢参宮は、それだけでも庶民にとっては愉快なこと。
もっと愉快なのは、その参宮の行き帰りに寄る江戸見物。
江戸は新しい街。
が、ヒトが多いから、何でもある。
江戸の呉服屋、食い物屋等々、地方から出てきた者が知りたい行きたいスポットがまとめられた、今風に言えば江戸ガイドブックが出版されている。
東京駅南の丸の内側に、はとバスの広い乗り場がある。
東京のありとあらゆる見どころを案内する何十ものコースが用意されている。
そのコース案内のようなものかと。

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