« 謹賀新年 | トップページ | 『サギ師が使う悪魔のロジック術』を読む »

2022年1月 1日 (土)

『宇宙はなぜ物質でできているのか』を読む

副題は、『素粒子の謎とKEKの挑戦』。
KEK(ケック)とは、つくば市にある高エネルギー加速器研究機構(ou nerugii asokuki Kenkyū Kikō)のこと。

マイナス電荷粒子の電子の粒子が、プラス電荷の電子。
プラス電荷粒子の陽子の粒子が、マイナス電荷の陽子。
思いっきり大雑把に言うと、
 電子と陽子でできているのが物質
 陽電子と陽子でできているのが物質
粒子と粒子(物質と物質)が衝突すると消滅(エネルギーが他の粒子に変換)する現象が対消滅(ついしょうめつ)。

Photo_20211231091101
こんな喫茶店で、読み始め。

宇宙の創成期、粒子と粒子は、対称的に同数あったと考えるのが自然。
なのに、なぜ我々の宇宙は対消滅せず、物質に満ちているのか。
物質はどこへ行ったのか。

'08年のノーベル物理学賞は、
 ・自発的対称性の破れの発見(南部)
 ・CP対称性の破れの発見(小林・益川)

宇宙の創生は対称ではなかった。
対称性の破れ〟があって、物質が残った。
小林・益川理論が提唱されてから30年を経て、実験的に理論が証明される。
KEKがそれに大いに貢献した。

読了は、昨夕。

本書の執筆は6人の物理学者によって。

第三章は「小林・益川理論を検証せよ」。

KEKの加速器で、電子と電子を衝突させ、理論の検証実験を始める。
対称性は、はたして破れるのか。
理論通りに破れれば、小林・益川のノーベル賞受賞は確実。
実験チームは、実験を成功させ、小林・益川にノーベル賞を受賞してもらおうという思いを共有する。

その一方で、著者はこうも言う。
理論のほころびを明らかにしても、ノーベル賞級の発見。
理論とは一致しない現象を見つけたいという矛盾した気持ちもあった、と。

« 謹賀新年 | トップページ | 『サギ師が使う悪魔のロジック術』を読む »

コメント

素粒子25種類がこの世界のすべてだと考える、超秀才君らが繰り広げる、あるいはデカルトさんもびっくりの世界ですね。

konchan様と違い、素粒子理論をとうてい理解しえたとは思いませんが、「カムランド禅」と銘うった実験でニュートリノvs反ニュー,で入れ替わるのか?

愚生の如きでさえ、首を長くして待っております。

ただし、みたこともない大魚を釣るための’待ち’のほうが好きですが。

あけましておめでとうございます

例年の如く、山に、海に、今年も貴殿にとって納得のゆく年でありますように、今年も拝見させていただきます。

投稿: 9 | 2022年1月 1日 (土) 12:09

与作さん
明けましておめでとうございます

池澤夏樹の『スティル・ライフ』は、バーで、水割りグラスにチェレンコフ光を探す男の描写で始まります。

秀才らの知ろうとする念は強いですね。
私は、
見えるものを見ず
聞こえるものを聞かず

いるのかいないのか、ただただ竿を出すだけ。
バカです(^^;

バカなりのこの気分。
これが悪くないンです。

本年も、よろしくお願いいたします。

投稿: KON-chan | 2022年1月 1日 (土) 14:28

このへんの話は中学の時に、親が買ってくれた
科学図鑑と言う本にでてましたね。60年
も前ですけどね。その時の本には、宇宙のどこかの
銀河が反物質で出来ているはずと、載っていた
と記憶している。これが有れば凄いエネルギーが
取りだせる。E=MC^2ですからね。
核分裂なんか問題になりませんね。
そんなこと考えると、楽しいが私です。

投稿: ja8oxy | 2022年1月 2日 (日) 12:21

ja8oxyさん、こんにちは

加速器のトンネルリングの直径の単位が10キロ。
国際協力しないと研究が立ち行かないようで、KEKの加速器施設を使う研究者の8割が外国人だそうです。
本書には東日本大地震で加速器が損傷を受けた際に、中国にデータ採取量で抜かれたエピソードが書かれています。
この世界でも中国の躍進には素晴らしいものがあり、大きな加速器を建設中ですね。

今日のニュースに、「中国の核融合実験装置で、7000万度のプラズマを世界最長記録の1056秒間維持させた」とありました。
人工太陽です。
E=MC^2をここまでコントロールできるようになった時代に、我々は生きているのですね。

投稿: KON-chan | 2022年1月 2日 (日) 13:34

スイスだったかに、大きな加速器があったはずですね。
フランスだったか??忘れたけどね。
中国の言う事はあまり信用できないけど。

核融合が連続するのは、どの位の温度が必要なんでしたか
忘れたけど、太陽の中心部は1600万℃ですから
7000万なら、はるかに超えてますね。
7000度でないのかな?

投稿: ja8oxy | 2022年1月 2日 (日) 13:54

スイスとフランスの国境をまたいで国際研究施設の、世界最大の加速器がありますね。
全長約30キロ。

アーク溶接でも2万度くらいにはなります。

瞬間値なら、人類は1億度を超える値をすでに手に入れています。
問題はその維持。
この世界では、中国も世界のトップ集団にいます。
http://japanese.cri.cn/20211231/248f558f-aa36-2db2-1f97-82ad488c91c4.html

投稿: KON-chan | 2022年1月 2日 (日) 14:55

認識が間違っていたんですね。
私は、臨界温度に到達すれば
核融合は連続するのだと思ってました。
つまり、太陽の温度と同じになれば
良いのだと思ってました。
連続させるには、そのほかにも何か
要素が必要なのかな?
重力とか、圧力が大きくないと
うまくいかないとか。。。

投稿: ja8oxy | 2022年1月 3日 (月) 06:03

数が増える核分裂と違って、数が減る核融合ですから、連鎖反応はしません。
反応を継続させるには、燃料に相当する重水素と三重水素をどんどん追加していく必要があります。

おっしゃるように圧力。
太陽の中心圧力は数億気圧。
だから1500万度で核融合します。

そんな圧力に耐える容器は作りようがありませんから、人類の選んだのは温度を上げる方法。
1億度とか2億度あれば、標準大気圧より5桁くらい低い重水素と三重水素の圧力で核融合します。
このくらいの低圧力にしないと超高温を閉じ込められないわけです。

投稿: KON-chan | 2022年1月 3日 (月) 08:27

そーでしたか、重水素を追加しないと、ダメなのは知ってましたけど、臨界温度になれば、チョロチョロと追加してやれば、良いのだと思ってました。中学までの知識しか持ってませんでした。
参考になりましたわぁ。いずれにしても、とんでもない高圧と高温が必要なのですねえ。

そうそう、昨日、北湯沢へ行ったら友達が
例のシュートレーンと言いましたけ、もらい物だけど
と言って持ってきてくれました。1個食べて、冷凍しておきました。

投稿: ja8oxy | 2022年1月 4日 (火) 15:32

人類が実用化できそうな核融合炉の燃料は重水素と三重水素。
福島第一原発から海洋放流しようというのが、この三重水素(トリチウム)を含む水ですね。

シュトーレン(シュトレン)。
レーズンパンと言えばレーズンパン。
お菓子と言えばお菓子。
健康に悪そうなので、一気食いはできませんね。

投稿: KON-chan | 2022年1月 4日 (火) 16:29

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 謹賀新年 | トップページ | 『サギ師が使う悪魔のロジック術』を読む »