『お楽しみはこれもなのじゃ』を読む
内容は、 '76年から'79年の足掛け3年にわたって『月刊マンガ少年』に掲載されたもの。
'91年に単行本として発刊後、版を重ねず絶版。
'97年に文庫版として発刊後、版を重ねず絶版。
本書は、その追悼復刊。
著者の みなもと太郎 は、今年の8月逝去。
享年74。
こんな喫茶店で、読み始め。
著者は並外れた読書量・記憶力の持ち主。
また、鑑賞、批評を文字で表現する力も大変に高い。
年の離れた2人の姉がいるそうで、少女マンガの読書量も多い。
出てくるマンガ家は140人。
手塚治虫のように一人で10作以上取り上げられているマンガ家もいるので、紹介されるマンガは200を超える。
ゴルゴ13、ドラえもんなども話題にされるが、戦前の『のらくろ』も。
どころか、1921(大正10)年の、岡本一平の『人の一生』なんていうのまで。
マンガっ子、テレビっ子の代表みたいな私だが、本書内に書かれていることの、半分の半分のそのまた半分の更にその半分も既知なことはなかった。
高評価を得ている連載を持っていたのに、突然 ペンを置き、米国に移住したマンガ家
出産を機に専業主婦になったマンガ家
数年に1作しか作品を発表しない寡作なマンガ家
劇画の出現に納得できず創作を止めたマンガ家
等々。
本夕、読了。
ドレッドノート出現の前とあと。
世界の海軍が変わった。
ビートルズ出現の前とあと。
世界の音楽が変わった。
マンガの世界にもそれはあり、このマンガ家がいなければと思わせるマンガ家が幾人もいる。
いや、全てのマンガ家が、次に出るマンガ家に大きく影響している。
カールした明るい色の長い髪、大きく輝く目、長くて細い指の笹川華子は、月刊りぼんに連載されていた『早春物語』の登場人物。
作家は清原なつの。
本書の副題は、『漫画の名セリフ』。
『早春物語』で、マンガ家は笹川華子に言わせる。
何のために生きるか 課題が与えられていたら
あなたは その通りに生きるつもりなの?
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