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2021年11月15日 (月)

『知ってるつもり』を読む

本書副題は、『無知の科学』。

原著題は、〝THE KNOWLEDGE ILLUSION〟。
原著副題は、〝Why We Never Think Alone〟。
 知識の錯覚(幻想)
 なぜ私たちは一人で考えられないのだろう
くらいの意味だろう。

日本語著書名から連想されるような雑学本ではない。
米国の認知学者二人の共著。
400ページ近い大著。

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こんな喫茶店で、読み始め。

1945年、ニューメキシコ州の砂漠で行われた史上初の核爆発(プルトニウム239を核分裂させる原爆)実験。
この実験では、核分裂の連鎖が大気にも伝わり、地球全体を焼き尽くしてしまうのではないかということまで懸念していた。
そのため、試験原爆の起爆は慎重な検討を行ってのち。

本書のスタートは、その9年後のビキニ環礁で行われた これもまた史上初の水爆(核融合)実験から。
この実験にあたっては、当然のこと、その爆発威力を事前に見積もっている。
が、その見積もりが、大間違い。
実際の爆発力は見積もりの2倍半もあった。
また、実験当日の風向・風速の予測にも失敗。
結果、観測機乗員や240キロも離れた環礁の住民もが放射線被曝するという事態を引き起こした。
第五福竜丸船員の被曝もこの時。

これは、核の知識がまだ充実していなかったからという言い訳ができる。
本書は続けて、
 ファスナーの開け閉め動作原理は?
 ミシンの縫製原理は?
と問いかけ、身近な具体例、さらには科学・政治に対し、
我々は、
 何を考えているか
 どう考えているか
の考察が語られる。
考察の裏付けは豊富で、論理の展開は納得できる。

知らないことを知らないことも多いが、知らなくても実害のないことも多い。
この、知らないことを知らないがために、時に戦争で傷付き、テロで死ぬはめに陥ったりすることもある。

本夕、読了。

〝知ってるつもり〟は、誤解・カン違い・無知からくるもの。
まァ、ヒトゆえ。
一方、〝知ってるふり〟は故意。
〝知ってるふり〟は〝故意〟だから、それなりのツジツマ合わせ・理屈をコネる。
知ってるヒトの前に出ると、たちまち馬脚を現してしまうのが〝知ってるふり〟。
だが、我々の多くは〝知ってるヒト〟ではないから、この〝知ってるふり〟に、かなりの確率でダマされることになる・・・

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