『物語で知る 日本酒と酒蔵』を読む
日本酒(合成清酒を含む)の消費量のピークは1973(昭和48)年で、1770メガリットル弱。
その量が、2019(令和元)年には、三分の一以下にまで減り480メガリットル。
酒造免許の交付は国税庁の所轄。
その国税庁、急速に落ちていく需要などを理由に新たな酒造免許の交付はひかえている。
が、今年の春、
七飯町の酒店が、休業していた岡山県の酒蔵を七飯町へ移転することで
酒造を引継ぎ、4月に初しぼりを行った
との報道があった。
こんな喫茶店で、読み始め。
著者は、この10年連続、昼飯を食べることだけを目的に鳥取の山あいの集落を訪れる。
集落内は車が入って行けない江戸時代のままの道幅の地割で民家が建つ。
その民家、築270年。
本州には創業から300年になんなんとする酒蔵があちらにもこちらにもある。
著者は古い狭い道の集落で、30時間もかけて精米したコゲの乗った飯を食い、酒蔵に向かう。
戦前は5000余の酒蔵があったというが、現在は1500。
醸造酒は北、蒸留酒は南。
なので、沖縄に酒蔵があるのを知っているヒトは少ないだろう。
いやいや、酒蔵は47都道府県すべてにある。
流通に乗っている日本酒の銘柄だけでも、15000を数えるという。
本夕、読了。
〝醸(かも)す〟は醸造すること。
中国語から来ている。
中国語で酒造することは〝醸酒〟。
〝醸す〟を〝かもす〟と読ませる。
いや、逆だ。
〝かもす〟に〝醸す〟を当てたのは、古代日本語の〝かもす(かむ)〟が酒造することだったから。
この〝かむ〟は〝噛む〟だという説がある。
穀物を噛んで酒を造ったのだという。
噛んだ穀物から酒を作る。
よく聞く話だ。
しかし、そうやって酒が造れたという実例は、私が探した範囲内では見つけられなかった(^^;
コメント
日本酒消費量は、国内の話しでしょうか。そんなに減少しているんですね。
海外では日本酒はかなり人気があると聞きます。ここ数年はジャパニーズウイスキーも同様。
私、体質的に沢山のお酒を呑めなくなってきましたが、若いころは無茶な呑み方をしたものでした。最近は日本酒いいなあと思っています。いろいろ吞み比べしたくなりますね。
数年前に新潟に行った時に、居酒屋の地酒メニューの多さにびっくりしました。
お酒を少々嗜むのも人生の愉しみであると思います。ところで言語は時代と文化で変化していく物でしょうけど「嗜」の意味は中国と日本で使われ方に大きな差が無いようですね。
浴びるほどに呑めなくても構いませんので、少々嗜むというよりは、好むと言える程度の体質であればいいのになあと、新潟の地酒メニューを傍観して帰ってきました。
投稿: めりー | 2021年10月22日 (金) 11:46
めりーさん、こんにちは
新潟は米どころですから、酒蔵も多いようですね。
酒蔵によっては、米(酒造好適米)の栽培、精米も自分でというところもあるようです。
本書に出てくる米だけでも20以上。
また、水。
納得できる酒を作るために、山に長い横穴を掘って水を得ている酒蔵もあります。
そして酵母。
これも何種類もあります。
著者が酒蔵を訪れるたびに、これらを話題にするのですが、なかなか面白い世界です。
「嗜」は現代中国でも「嗜酒」という言い方をしています。
酒を嗜まないなら、我不会嗜酒。
李白の五言絶句、
三百六十日
日日酔如泥
雖為李白婦
何異太常妻
三百六十日
日日酔うて泥(でい)の如し
李白の婦(つま)為(たり)と雖(い)えども
何ぞ異ならん太常(たいじょう)の妻に
サカナ釣りばかりやっていてはバカになります。
酒ばかり飲んでいてもバカになります。
釣りを語る輩も、酒も語る輩もバカばかり(^^;
投稿: KON-chan | 2021年10月22日 (金) 17:35