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2021年10月10日 (日)

『K』を読む

K2は、パキスタンと中国にまたがる世界第2位の高峰。
8611メートル。

物語は、〝5年前〟から始まる。
5年前、K2の北壁に臨んだ二人の日本人登山家が遭難。
一人は のちにK2氷河で発見されるが、もう一人の行方は分からない。

K2を北東に見上げる位置にあるパキスタンのアスコーレ村の標高は3000メートル。
そこに住むK(ケイ)は、日本人であるようだ。
行方知れずになっている日本人登山家が、K(ケイ)であることが暗示される。

本書は月刊リイドコミックに1986年から88年にかけての連載を一冊にした本の復刻版。
マンガ。
アスコーレ村は実在の地だが、物語もK(ケイ)も創作。

K
こんな喫茶店で読み始め。

素人登山者は、カラコルムやヒマラヤでは遭難しない。
なぜなら、素人登山者はそんなところへは行かないから。

カラコルムやヒマラヤに登ろうとする者は、筋肉もテクニックも鍛えに鍛えあげたヒト。
そんな者が遭難するところは、誰も助けに行けない場所。

K(ケイ)がヒゲを剃るとき。
それは、誰も助けに行けない場所の遭難者のもとに向かうとき。
一人で。

本夕、読了。

30年以上も前のマンガ。
だが、高い山に登る方法は今と同じ。
30年後も、今と同じだろう。

日本の高山の多くは火山活動によっての造山。
富士山も旭岳も室蘭岳も火山活動によって造山されている。
溶岩は流動体だから、壁のような面を作りにくい。

ヒマラヤはユーラシアプレートにインド・オーストラリアプレートが衝突する面の隆起が造山理由。
8000メートル峰の全ての造山がこの2つのプレートの衝突面の隆起で、壁のような面を持つ。
これらは世界で最も新しい山々で、風化によって山肌が削られるよりも隆起のほうが速いという。

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コメント

30年で、人の側の技術はそう変わりが無いでしょうか。使う道具が良くなり、それに助けられるようになったのは、山も釣りも同類かなあと思います。
風化より隆起が速いから、標高が高くなっているんですね(誤差はあるにしても)
地形の多くは、風化や浸食でできているようです。
風と水。これらの力はすごいですね。数年という僅かな時間で地形が変化するのを感じる場面もあります。
30年なんていうのも、地球にとっては僅かな時間ですね。

投稿: めりー | 2021年10月11日 (月) 03:53

めりーさん、こんにちは

ニセコの山々は若いですから、雨水によって鋭いV字型に浸食された斜面がそこここに見られます。
ついこの前に噴火した十勝岳ともなると、たった今、斜面が土煙をあげて崩れていくのを見ることができます。
不動の大地とか言いますが、地球は生きているんですね。
ヒマラヤの隆起は速く、年にセンチの単位で高くなっているそうです。
インド亜大陸を乗せたプレートの動きは北上。
ユーラシアプレートとぶつかっている面で隆起を続けています。
インドは西にインダス川、東にガンジス川の2大河があり、ここからインド洋に注ぐ水の力がプレートを北上する力に加担しているという説を読んだことがあります。

本書には高い山に設営したテント内で、缶詰を食べる描写があります。
今の登山者は重い缶詰を背負って山に入ることはまずしませんね。
またぺミカンと呼ぶ、炒めた肉や野菜をラードで固めた保存食をザックに入れることもしなくなりました。
食料は確実に軽くなりました。

30年前となると、私は釣りも山もめりーさんも知りませんでした。
この30年で、釣りを知り、山を知り、めりーさんを知りと、私には悪くない時間が流れています。

投稿: KON-chan | 2021年10月11日 (月) 08:06

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