『生と死をわけた一瞬』を読む
取り上げられている〝生と死をわけた〟事件は3件。
3件とも北海道内で発生したもの。
本書初版は'01年だが、
・雪崩遭難 1953(昭和28)年
・トド撃ち船の遭難 1968(昭和43)年
・炭砿爆発 1968(昭和43)年
と事件の発生年は古い。
著者は、北海道新聞社の元記者。
〝新〟聞記者ではあるが、本書においては〝旧〟聞記者に徹している。
事件発生そのものの記載のみならず、
・〝生と死をわけた〟事件の 幸運にも〝生〟側にわけられた当事者の数十年後
・不幸にして〝死〟側にわけられたその遺族の数十年後
の記載もある。
こんな飯屋で読み始め。
炭砿坑内ガス爆発からの生還者2名のその後。
暗闇の中での手を取り合っての2日間で、ひとりは深刻な低酸素脳症で半植物人間へと。
妻は病床、ほどなく死去。
のこされた中学生の兄妹は、母の墓を労災補償金で建立する。
もうひとりは3週間の入院後、職場復帰。
しかし、間もなく閉山。
首都圏に職を求めるが、そこでの体調悪化、伴侶の不貞・離婚。
著者は事件発生25年後の当人を取材する。
しかし、26年目の取材はできなかった。
当人の行方は、ようとして知れず。
本夕、読了。
副題は、
『証言 極限からの生還者』
〝生還者〟だけではなく〝死者〟の遺族への取材もある。
雪崩からの生還者のひとりは、東京の大学への進学直前の18歳。
母の兄にあたる伯父と一緒の春山スキーでのこと。
伯父は助からなかった。
母は言う、
「あんたが代わって死んでくれたらよかったのに」
ある遺族。
会社からの弔慰金をめぐって婚家とトラブル。
死んだ夫と離婚することになる。
ある遺族。
会社からの弔慰金で飲み屋を開こうと親戚を頼り、巻き上げられる。
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