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2021年9月 7日 (火)

『生と死をわけた一瞬』を読む

取り上げられている〝生と死をわけた〟事件は3件。
3件とも北海道内で発生したもの。
本書初版は'01年だが、
 ・雪崩遭難     1953(昭和28)年
 ・トド撃ち船の遭難 1968(昭和43)年
 ・炭砿爆発     1968(昭和43)年
と事件の発生年は古い。

著者は、北海道新聞社の元記者。
〝新〟聞記者ではあるが、本書においては〝旧〟聞記者に徹している。

事件発生そのものの記載のみならず、
 ・〝生と死をわけた〟事件の 幸運にも〝生〟側にわけられた当事者の数十年後
 ・不幸にして〝死〟側にわけられたその遺族の数十年後
の記載もある。

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こんな飯屋で読み始め。

炭砿坑内ガス爆発からの生還者2名のその後。
暗闇の中での手を取り合っての2日間で、ひとりは深刻な低酸素脳症で半植物人間へと。
妻は病床、ほどなく死去。
のこされた中学生の兄妹は、母の墓を労災補償金で建立する。

もうひとりは3週間の入院後、職場復帰。
しかし、間もなく閉山。
首都圏に職を求めるが、そこでの体調悪化、伴侶の不貞・離婚。
著者は事件発生25年後の当人を取材する。
しかし、26年目の取材はできなかった。
当人の行方は、ようとして知れず。

本夕、読了。

副題は、
『証言 極限からの生還者』

〝生還者〟だけではなく〝死者〟の遺族への取材もある。

雪崩からの生還者のひとりは、東京の大学への進学直前の18歳。
母の兄にあたる伯父と一緒の春山スキーでのこと。
伯父は助からなかった。
母は言う、
「あんたが代わって死んでくれたらよかったのに」

ある遺族。
会社からの弔慰金をめぐって婚家とトラブル。
死んだ夫と離婚することになる。

ある遺族。
会社からの弔慰金で飲み屋を開こうと親戚を頼り、巻き上げられる。

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