『爆笑問題の 戦争論』を読む
月刊「ダ・ヴィンチ」に1年間にわたって連載されたものを1冊の成書としたもの。
著者は、お笑いコンビの 爆笑問題。
爆笑問題、
立ち位置 向かって左が、田中(背の低いほう)
立ち位置 向かって右が、太田(背の高いほう)
本の作りは、漫才のネタ帳。
こんな喫茶店で読み始め。
田中が史実を語り、太田がボケる。
戦争論とあるが、論というほどのものはない。
話は明治政府発足後の外交から。
1875(明治8)年の江華島事件 からはじまり、
日朝修好条規
壬午軍乱
甲申政変
天津条約
甲午農民戦争
を経て、1894(明治27)年日清戦争が開戦。
論というほどのものはないと書いたが、当時のインテリが何を考えていたかが、例えば福沢諭吉の『脱亜論』を使って紹介される。
日清戦争から帝国敗戦まで、漫才口調で、しかし、冷静に歴史が語られる。
本夕、読了。
田中が〝ダンピール海峡の悲劇〟を言うと、
太田:ああ、あのラモスが頭抱えてたやつ。
田中:それは〝ドーハの悲劇〟だよ!
程度のギャグに留まらず、歴史のイベントに出てくる人物を現在の事業家・芸能人・政治家に置き換えて笑いにする。
その置き換え方が的を射て鋭い。
太平洋戦争末期、側近の近衛文麿が天皇に戦争終結を進言。
天皇は「もう一度戦果を挙げてからでないと、なかなか話は難しいと思う」
それを田中が言った時の、太田の反応は、
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と二行にわたって無言。
田中は、
「何か言えよ!」
に続けて、
「いよいよ米軍の‥‥‥」
と、話を進行する。
ゴーストライターの下書きに乗っかって作られた本だろう。
が、編集者のチェックが行き届いているし、爆笑問題二人の頭もいいのだろう。
お笑いとは対極にある戦争が、見事に漫才にされる。
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