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2021年5月25日 (火)

『古代史おさらい帖』を読む

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はモシリ島。
有珠漁港直近にある島。
この島から発掘された縄文人には、南島(沖縄諸島)で採られたイモガイで作られた腕輪が付けられていた。

著者は序文で、
 名の通った研究者が暗黙のうちに使っている基礎知識のなかにも、
 未証明のうえに出来上がった脆弱さをもつものがある。
 一見、学問の成果(到達点)のようにみえる事柄についても、
 その問題点を列挙しておさらいする。
と書く。

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こんな喫茶店で読み始め。

書名を「入門」とすべきという意見が編集者から出たようだが、著者は「おさらい」とした。
それを、
 人に伝授するに足る不動の学問が築きあげられたときに使える言葉が
 「入門」。
 くる日もくる日も、あれこれ頭のなかで反芻している者にとっては
 「おさらい」はできても「入門」の伝授はできない。
と説明する。
更に、
 「おさらい」は自身のためにおこなっていることである。
とも。
本書執筆当時79歳にして、著者の研究姿勢は初学者と変わらない。

冒頭のイモガイの腕輪。
ほかに、黒曜石の産出地と、それを道具として使った形跡が確認できる遺跡の位置も遠い。
それらから、古代人の移動・交流の広さがうかがえる。
道無き、航路無き時代の人流と物流。
加えて、紛争と統治。
その歴史を、著者とともに「おさらい」する。

本夕、読了。

元素の周期表。
表の一番左上が水素。
一番右上がヘリウム。
ヘリウムの下が、ネオン。
以下、アルゴン・クリプトン・キセノン・ラドン。
これらを、私はガス(きガス:rare gas)と習った覚えがある。
知らなんだ。
今は、ガス(きガス:noble gas)と教えているのだと。

乾き空気の組成の体積割合は、大きい順に窒素・酸素・アルゴン。
次が二酸化炭素なのだが、その体積割合はアルゴンより桁がひとつ小さい。
確かに、アルゴンは高価なガスではあるが、マレではない。

以上は、脇道の「おさらい」。

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コメント

私も「希」世代です。
どこらへんで変革したんでしょうね?
(あ、高校化学は選択していませんでしたので、ほぼ無知です)

古代の時間は、いまとは全くスピードが違っていたのでしょうね。
人の肉体の寿命や、生殖サイクルや、
79才の人生が長いのかそうでもないのか。
速度も歪みも違っているとは思うんですが、古代もいまも、根本はそう大きく変わらないのかなと思います。

投稿: めりー | 2021年5月25日 (火) 21:29

めりーさん、こんにちは

日立のブラウン管カラーテレビに、キドカラーというのがあったのはご存じですか。
「キド」とは、希土(きど:rare earth)のことです。
「希」ガスは「貴」ガスになりましたが、「希」土は「希」土のままのようです。

「希」ガスが「貴」ガスになったのは、米国のハイスクールで、rare gas を noble gas と表記を変えたことが影響しているようです。
それが日本の教育現場におろされたのは、それほど以前のことではありません。
ここ10年ぐらい前のことのようです。

中国語では「稀有气体」。
しかし、その英訳は「noble gas」としていますね。

日本書記の成立は1300年前ですが、「言葉」だけに限ると、更にその6、700年くらい前の古代日本人は中国人とコミニュケートできていたようです。
言葉が理解できるということは、日本より3千年は先行する中国文化の概念も解釈できていたと考えてもよさそうです。

まァ、人間。
古代人も現代人も同じですね。

投稿: KON-chan | 2021年5月25日 (火) 23:14

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