『死顔』を読む
'06年に死去した吉村昭の
・ひとすじの煙
・二人
・山茶花
・クレイスロック号遭難
・死顔
の5短編がおさめられた遺作集。
こんな喫茶店で読み始め。
記録文学者として評価の高い著者だが、創作も読みやすい。
文体、語彙、言い回しに、飾りも気どりもない。
情緒的でなく、かと言って、乾いていない。
ニヒルでもない。
ガンの脾臓を全摘。
自宅療養中、著者は死ぬために自分で点滴チューブ・カテーテルポートを外す。
その著者が死に至るまでを、上記5短編の最後に、
遺作について― 後書きに代えて
と題して、妻 津村節子が書いている。
それもまた、文体、語彙、言い回しに、飾りも気どりもない。
情緒的でなく、かと言って、乾いていない。
ニヒルでもない。
本夕、読了。
『死顔』の推敲を最期まで続けていた著者だが、結局、津村節子が最終稿を成している。
享年79。
短いとは言えないけれど、長くはない生涯。
しかし、自身の死後、自身の生涯を推敲してしてくれる者がいると知っての死は不幸ではなかった。
かも、しれない。
著作リストをチェックしてみたら、私の読了済み作は羆嵐・深海の使者・破獄。
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