『思わず興奮する 性生活の日本史』を読む
文字で残る最古の日本人は、『三国志』中の『魏志倭人伝』。
3世紀終わり頃の書。
其俗国大人皆四五婦 下戸或二三婦 婦人不淫不妬忌
不盗竊少諍訟 其犯法 軽者没其妻子 重者没其門戸
及宗族
その国の風習では、身分の高い者はみな四、五人の妻
を持つ。
下層民は二、三人の妻を持つ。
婦人は貞節で嫉妬をしない。
盗みをせず、訴えごとが少ない。
法を犯すと、軽い者は妻子を没せられ
重い者は一家や一族が没せられる。
3世紀の日本は、法律を有し、一夫多妻社会だったようだ。
本著者は、古事記(712年)・日本書紀(720年)、更に時代は下って11世紀初めの『源氏物語』内の記述などから、古代日本は一夫多妻社会だったのではなく、複婚社会だったと書く。
古代日本は、男が複数の妻・恋人を持つと同時に、女も複数の夫・恋人を持つ社会だったと。
こんな飯屋で読み始め。
異性間が複線の関係であることが普通だっただけではなく、武田信玄と高坂昌信、織田信長と森蘭丸の例のみならず、武将の男色は〝たしなみ〟。
僧侶と稚児の関係からも、日本社会は男色に寛容だった。
出典は確か。
文献に残る対象だから上流社会。
誰がしもじもの性生活に興味があろう。
遠い天上人の秘め事にこそ、我々(私だけか)は興味を持つ。
それが書かれている。
期待していたのは、題名にある〝思わず興奮〟。
しかし、〝思わず興奮〟させるような記述はない(^^;
本夕、読了。
著者は、大学で日本史を学んだヒト。
出版社勤務ののち、フリーライターとして執筆活動をしている。
男女のAがBと、AがEと、BがCと、BがEと、CがDと、DがEと通じ合うといった、複線の性愛関係がある環境が大学のサークル内や職場内にあることを書いている。
多分、本著者の実経験だろう。
男と女。
3世紀の世界も11世紀の世界も21世紀の今も、貴族も庶民も同じ。
コメント
案外と、知能の高い動物は、その方向にあるのかも。
チンパンジーなんかも、色々と忙しいらしい。
今や我が身は、前立腺癌の治療ですっかり、
関係の無い体になってしまった。
投稿: ja8oxy | 2021年4月24日 (土) 04:13
ja8oxyさん、こんにちは
小松左京に『オルガ』という短編があります。
舞台設定は40世紀。
男女が向かい合って〝オルガ〟という液体を飲む。
すると、肌を合わせなくても二人ともオーガズムに達することができるという話です。
年がら年中 見境なく発情している我々人類には必要な液体かもしれませんね。
ヒトはやはり高等動物、知性の動物。
ヒトの性行動は、本能から離れていきつつあるように、私も思います。
投稿: KON-chan | 2021年4月24日 (土) 15:55