『現代医学に残された七つの謎』を読む
副題は、『研究者の挑戦を拒み続ける人体の神秘』。
医学に残った謎が七つだけのはずがない。
本著者が、
・一般読者に身近な問題で興味を持ってもらえる
・本著者、あるいは本著者の友人が専門家としての立場で説明できる
と考えた題材から七つを選んだというだけ。
こんな喫茶店で、読み始め。
取り上げられているる七つの謎は、
1鍼灸の治療効果
ツボと経絡路は実在するか
2磁場の人体に及ぼす影響
人体内に磁石はあるか
3睡眠
睡眠物質は存在するか
4病は気から
プラセボ効果とはなにか
5「天然のリニアモーター」筋肉
意思はどのように筋肉を動かすのか
6記憶のメカニズム
記憶はどのように貯蔵されているか
7人体の設計図
鍵を握る細胞質
7番目の〝謎〟。
〝設計図〟とは〝DNA〟のこと。
〝DNA〟には、生体の〝設計図〟が書かれていると何かで読んだか聞いたかしたことがある。
が、〝DNA〟の遺伝暗号に記されているのはタンパク質を構成するアミノ酸配列のみ。
本著者は、そのことを、
DNAは家を建てる際の建築材料リストにすぎない
と表現している。
生体の構成単位は、細胞膜に包まれた袋である細胞。
細胞膜はタンパク質ではない。
タンパク質でないから、〝DNA〟には記されていない。
また、生体で最も多いのは糖質とタンパク質が化合した糖タンパク質。
その糖質とタンパク質の化合割合も〝DNA〟には記されていない。
そのことから、本著者は生体を組み上げる仕掛けが、細胞膜内にまだ発見されずにあるのではないかと睨む。
本夕、読了。
〝医学〟より何よりも、〝生命〟そのものが〝謎〟。
その〝謎〟を〝神〟のなすワザとしておけば、それで こと済んだ時代はとうに過ぎている。
〝謎〟の創造者が〝神〟であるのなら、我々はその〝神〟にX線を照射しようとする時代に生きている。
みたいなことを言える日は、明後日や十年後といった近い未来ではないだろう。
一万年も先ではないような気がするが、百年くらい先では まだ〝謎〟は〝謎〟のままだろうと思う。
コメント
これ、面白そうですね。
自分の専門分野として、2番めの磁場。
個人的に、3番めの睡眠物質。
どんな物事にも、いろんな側面があると思います。
「生物にX線を照射」したらどんなことなるかは、キュリー夫人の時代から既に明らかです。
「どのように」照射するかが、鍵になるでしょう。
照射ではなく、自然に浴びてることは問題にならないのか?
「影響がよく判っていない」ことは、「恐らく無害」とされます。
今のご時世に「恐らく無害」というのがちょっと信じられませんが、
実は「恐らく無害」ではなく、多々の影響を受けているように、私は思いますー。
何の話し??(笑)
駄文失礼しました。
投稿: めりー | 2021年4月11日 (日) 18:05
めりーさん、こんにちは
2磁場
本著者は厚生省の指示で訪れてきたピップの役員からの依頼を受け、エレキバンの人体への作用を調べています。
私はヘモグロビンが関係するのだろうと思っていましたが、ヘモグロビンは磁気には反応しないのですね。
本著者の調査によると、磁気によって血流量が増え体表面温度が上がるヒトがいるのは確かなようです。
本著者自身には、変化が見られなかった書いていますが。
人体は受けた放射線量によっては重篤な事態に陥ります。
しかし、人体は放射線には痛みも熱さも感じません。
>「影響がよく判っていない」ことは、「恐らく無害」とされます。
>実は「恐らく無害」ではなく、多々の影響を受けているように、私は思いますー。
おっしゃる通りですね。
ヒトの目はたった1個の光子すら感じることができるのに、なぜ、人体に放射線を感じる器官がないのか。
〝謎〟ですね。
3睡眠
睡眠物質を探す研究は日本においても明治の初期からあったことが書かれています。
循環器を共有するシャム双生児が必ずしも両者とも同時に寝ないことから、血液と睡眠は関係なさそうです。
何日間も断眠させた犬の脳を他の犬の脳に注射すると直ちに眠りに落ちるとか。
全身麻酔は人工の睡眠。
麻酔の仕組みはほとんど分かっていません。
https://kon-chan.cocolog-nifty.com/konchans_logbook/2018/09/post-6780.html
人工の睡眠さえも〝謎〟なのですから、自然の睡眠も〝謎〟。
読んだのは『現代医学に残された七つの謎』。
〝謎〟なんだということを確認したというわけです。
投稿: KON-chan | 2021年4月11日 (日) 20:25
医用核磁気共鳴の世界では、人体をMRに入れて磁場をかけると体表温度はもちろん、体内部の温度が上昇することが確認されています。
なので、火傷のリスクがあります。(実際に火傷した報告は多々あり)
エレキバンの効果は、私も懐疑的です。
スポーツ選手がするような磁気ネックレスの類いも使ったことがありませんが、どうなんでしょうねー。
それこそプラセボの可能性もありそうです。
人の身体は千差万別。水分量も鉄量も、どんな微量ミネラルもタンパク量も、同じ人はいないでしょう。
ふふ、面白いですね。放射線を感じる器官が無いと。
人が失った感覚は多いでしょう。
もしかしたら、ここに来るまでの道のりで、そんな器官もどこかに置き忘れてきたのかも知れません。
麻酔には、必ずリスクがあります。適応量を使用しても、稀に醒めない運の悪い人がいるようです。使わずに済むならそれに越したことはありません。
謎は謎でいいと思います。
私には、ほとんどのことが理解できません。
投稿: めりー | 2021年4月12日 (月) 07:51
磁気療法効果の二重盲検検査は大変に難しいそうです。
プラセボ効果もあるんでしょうね。
本書によると、偽薬を与えられた患者でも40%くらいは症状が治まるという経験的事実があるとのこと。
なので、新薬開発の薬効テストの最終段階で治癒率が40%そこそこなら、その新薬申請は却下される可能性が大なのだと。
プラセボ効果は巨費を要する新薬開発を行う製薬会社の最大リスクとなっているようですね。
本著者は、古代人が持っていた(と推測できる)磁気を感じる感覚を、ヒトは失ったのではなかろうかと書いています。
放射線については本書に記述がありません。
放射線を感じる能力をヒトが失ったのではなく、初めからなかったのではないかと私は思っています。
根拠のない私の愚考ですが。
謎を謎のままにしておけないのが、ヒトの知性。
近い将来なのか遠い将来なのか。
謎は解き明かされるものと。
投稿: KON-chan | 2021年4月12日 (月) 17:36