« 『宇宙飛行士選抜試験』を読む | トップページ | 寒さが緩んでプラスの気温 »

2021年2月 4日 (木)

『モチーフで読む美術史』を読む

室蘭市青少年科学館。
1963年の開設というから、古い施設だ。

玄関を入ってすぐ右が入館窓口。
窓口に正対した壁に展示されているのが、青木繁(1882年-1904年)が描いた『海の幸』の複製画。
モリを持った10人の漁師が2列縦隊になって、大きな3尾のサメを運ぶ図。
縦70センチ・横180センチ。
日焼けした漁師の中の一人だけが、真っ白な顔。
その顔だけがこちらを向いている。

この人物は、青木繁の恋人だと言われている。

Photo_20210204150301
こんな喫茶店で読み始め。

絵に描かれているモチーフを読み解いて、1枚の絵画全体を解釈していく。
見開き2ページに解説。
それをめくった見開き2ページにカラーで絵画。

読み解くモチーフは、ウサギ・果物・窓・矢・・・等々、66。

その内のひとつ。
モチーフは〝手紙〟。
解釈する絵は3点、いずれも17世紀のオランダの画家の作。
・フェルメール 『恋文』
・ハブリエル・メツー 『恋文』
・ディルク・ハルス 『手紙を破る女』

手紙を手にするのは女性。
読んでいる部屋の壁には、帆船の絵。(絵の中の絵)
この時代、オランダの男たちは世界に出て仕事をしていた。
船は恋人の象徴。

本夕、読了。

次も本書から。
フランソワ・ジェラール、18世紀、イタリアの画家の作 『クピドとプシュケ』。
クピド(キューピー)が少女にキスをする。
二人の上にチョウが飛んでいる。
チョウは魂の象徴。
サナギから脱皮するチョウは、復活にたとえられたという。

本著者は、『死ぬ瞬間』の著者のエリザベス・キューブラー・ロスが見たチョウのことを紹介している。
ロスが、ポーランドのユダヤ強制収容所内の壁で見た、石や爪で刻まれたおびただしいチョウの絵のこと。

そして、本著者はこう解釈する。
死を前にした収容者たちは、サナギから脱皮するチョウに自分をなぞらえ魂の永生を願った。
まさに、美術を超えた美術であるといえよう、と。

以下、私が調べた限りは、という前提付き。
ロスは強制収容所の壁の絵のことを、確かに自著に記している。
しかし、収容所の壁にチョウの絵なんかないようだ。

〝美術を超えた美術〟という、修辞が安っぽくむなしい。

« 『宇宙飛行士選抜試験』を読む | トップページ | 寒さが緩んでプラスの気温 »

コメント

室蘭市青少年科学館!
懐かしいですねぇ~
高校の時の彼女と初めてキスした場所~(^o^)
KONーchanってお幾つなのかな?
私、68ですが・・・(^_^;)

投稿: シャコ | 2021年2月 4日 (木) 21:05

シャコさん、こんにちは

ある ある ある、確かにある。
青少年科学館にはプラネタリウムとか鏡の通路とか、こっそりキスできる場所が。
鏡の通路は、ちと下品ですかね(^^;
キスかァ。
シャコさん、やるなァ。

私、シャコさんより年下ですが、それほど変わりません。
5本指以内。
給食では脱脂粉乳を飲まされた世代です。

投稿: KON-chan | 2021年2月 4日 (木) 22:02

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 『宇宙飛行士選抜試験』を読む | トップページ | 寒さが緩んでプラスの気温 »