『「歴史認識」とは何か』を読む
本の構成を考えたのは、フリージャーナリストの江川紹子。
彼女が質問し、国際法を専門とする大学教授が答える作りになっている。
江川紹子は、本書を講義録と呼んでいる。
こんな飯屋で読み始め。
事実としての現代史の確認から、本書が始まる。
第1章で、東京裁判
第2章で、サンフランシスコ平和条約と日韓・日中の「正常化」
を確認する。
確認した歴主事実の知識を背景に、二人の間で、
第3章で、戦争責任と戦後責任
第4章で、慰安婦問題と新たな状況
第5章で、二十一世紀と「歴史認識」
が、交わされる。
世界で生きるためには、「よりましな悪」を積み重ねていくしかないのだと、本書。
社会は、多くの「俗人」と、ほんのひと握りの「聖人」と「大悪人」からなっている。
国家は、その人間の大部分の「俗人」よりも悪い行動をとるものだ、とも。
日本の多くの「俗人」の持つ〝歴史認識〟は、国際社会からは正当視されていない現実があるようだ。
特に、〝慰安婦問題〟は韓国人だけの〝問題〟ではなく、日本人・中国人・台湾人・フィリピン人・インドネシア人・インドネシアを統治していたオランダ人にも〝問題〟で、日本(人)の対応に関心を示しているのは欧米も。
本夕、読了。
質問者の江川紹子の勉強量は豊富で、質問の質も高い、
副題が、『対立の構図を超えて』。
〝対立〟の原因となっている歴史的事実の説明は、詳細かつ信頼性が高い。
しかし、中・韓と日本の間にある 尖った〝対立の構図を超える〟ために二人の知識人の議論の末に生み出したものは、小学校や中学校のホームルームレベル。
〝対立を超える〟とは、そんなレベルのことなのだろう。
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