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2020年10月25日 (日)

『週刊文春 10月29日号』を読む

北海道には、ひとつしか〝山脈〟がない。
日高振興局と十勝振興局を分ける日高山脈のみ。
北は日勝峠あたりから始まり、南は襟裳岬へ落ち込む山脈だ。
私の日高山脈入山経験は、その日高山脈最南端に近いアポイ岳(810メートル)だけ。

山脈の最高峰が日本百名山の幌尻岳(ぽろしりだけ:2052メートル)。
登山口に至るまでが難儀な山。
百名山中、最も登頂に手こずる山がそこだと言うヒトもいる。
その幌尻岳の15キロほど南、日高山脈のほぼ中間にあるのが、日高山脈第2位峰のカムイエクウチカウシ山(カムイエクウチカウシやま)、1979メートル。
北海道の山を歩く者は、この山を正式名では呼ばない。
〝カムエク〟

カムイエクウチカウシ山をカムエクと呼ぶ者で、次の二つの事件を知らない者はいない。
ひとつは、1965年。
北大山岳部6人パーティの6人全員が雪崩によって遭難死した事件。
もうひとつは、1970年。
福岡大学ワンダーフォーゲル部5人パーティ中の3人が同一個体のヒグマに襲われて死亡した事件。

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こんな喫茶店で読み始め。

10月29日号の文春を買った理由は、
福岡大ワンゲル部ヒグマ襲撃「50年後の初告白」
という記事を読むため。

50年前のカムエクでの事件は、7月25日から27日にかけて起きている。
夏休みの時期であるから、カムエクには、福岡大パーティだけでなく、北海学園大・帯広畜産大・鳥取大・中央鉄道学園、そのほかのパーティが入山している。

実際、クマに付きまとわれてから以後の福岡大パーティのメンバーが、北海学園大パーティ、鳥取大パーティのメンバーと直接 会話を交わしている。
なかでも、北海学園大の5人パーティは、福岡大パーティがクマに襲われる前日、同一個体のクマに襲われている。
しかし、5人中3人がザックを奪われたものの、落命した者もケガをした者も出さなかった。

ナゼか。

50年前、37歳の社会人メンバーとして、北海学園大のパーティに参加していた岳人が文春記者に語る。

本夕、読了。

日高の山を登ることを考えていた私。
北海道庁・林野庁北海道森林管理局・道警・中札内村からの登山者へのお願いを知った。
当局のお願いとは、
カムイエクウチカウシ山への登山自粛を強くお願い
周辺の山岳でのヒグマへの十分な注意

昨夏の7月中旬と下旬。
ソロ登山者が2名、クマに襲われているようだ。
内1名は自力下山できないほどの重傷。

当該加害クマの駆除はされていない。

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コメント

おはよーございます。
KON-chanはソロなので、やはり心配になりますねえ。。
集団で歩いていたら安全かと聞かれたら、そうでもないんじゃないかとは思いますが(実際に5人パーティでも襲撃されたとのこと)
山は獣の住む地。
北海道では、ヒグマの闊歩する山。
私もソロで山にも入りますが、車が傍にあり、エンジンをかけていても深夜ひとりの山はクマの恐怖が尽きません。
それを、身ひとつで入ろうというのですから。
ヒトは無力です。身を守る毛皮も逃げる足も翼もありません。
生きたまま食われる気分は、いかほどでしょうか。
どうぞ、本当にお気を付けて。
私も、できるだけクマのリスクの少ない場所を選ぶようにしています。

投稿: めりー | 2020年10月26日 (月) 04:52

めりーさん、こんにちは

三毛別のクマは体長2.7mもあったそうで、ヒトが意識のあるままにこのクマに食われています。
福岡大パーティを襲ったクマの体長は1.3mほど。
被害者の全身にツメ痕があったようですが、解剖されたクマの胃からはヒトの組織は見あたらなかったとあります。
(3人は山のふもとで荼毘に付されています。クマの胃からヒトの組織が見つからなかったというのは、遺族の気持ちに配慮して そういうことにしたのかもしれません。 多分、そうだったのでは)
このクマの主目的はザックの中の食料。
このクマは、登山者が休憩し飲食する場所を知っていて、文春には、北海学園大パーティをその場所で待ち伏せしていたと書かれています。
北海学園大パーティが奪われたザックの中身は、水筒までがツメで割られていたそうです。

福岡大パーティの悲劇は、一度 クマに目を付けられたザックを回収してしまったことから始まっています。

クマの冬眠期間中は寒さと雪による山歩きの困難さはあってもクマのことは考えなくてもいいのですが、三毛別事件は12月ですからねェ(^^;

カプサイシンを吹くクマスプレーやナタを持って歩く渓流釣りや山菜・キノコ採りのヒトはいますが、登山者はそんなものを持って歩きません。
私も小さなクマ鈴ひとつだけ。

メリーさんも私も、クマの生活圏なのを知っていながら わざわざその地に入り、しかもソロ活動の多い身の上。

襲われたら、闘うか食われるか。
頭を一撃されて首の骨を折られて即死できればいいですが。
クマに負けての、長時間の痛みや恐怖は想像したくありませんが、自業自得。
山でのケガ・死は、誰にも同情されません(^^;

ところで、クマの話からの連想。
hibernation という英単語。
多分、こういう時代にならなかったら絶対に頭に残らなかっただろう単語。

脇道にそれました。
それでなくともクマとバッタリしそう。
脇道にそれてはいけません(^^;

投稿: KON-chan | 2020年10月26日 (月) 09:31

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