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2020年9月26日 (土)

『美意識の値段』を読む

室蘭市の日の出町にある卸売市場で毎朝行われているのが、青果・魚介の〝競り〟。
静内の軽種馬農協市場で行われているのは、サラブレッド1歳馬の〝競り〟。
サイバー空間のヤフオクで行われているのも〝競り〟、扱われているのは種々雑多・玉石混交。

演台をハンマーで叩いて〝競り〟の成立を告げるスタイルを採用しているのが、オークションハウス。

250年以上の伝統と品格を誇るオークションハウスが、クリスティーズとサザビーズ。

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こんな飯屋で読み始め。

本著者はクリスティーズのニューヨーク・ロンドンに長く勤務した人。
現在はクリスティーズジャパン社長。
専門は日本美術。
仕事はオークションに出品する作品を探し出し、鑑定し、査定し、売ること。

著書名は『美意識の値段』だが、要するに〝査定〟のこと。
〝アート〟に〝値〟を付けること。
〝値〟を付けるとは、〝値〟を貨幣価値に置き換えること。
コレを売るならナンボ、アレを買うならナンボ。

しかし、そもそも〝アート〟を貨幣価値に置き換えることはできないことだろう(と、私は思う)。
〝アート〟に限らず、〝値〟を貨幣価値で考えること自体、下品でイヤらしいこと(と、私は思う)。

著者は言う。
時代を経た〝アート〟も誕生したときは現代アート。
古いアートはただ時代を経ただけでなく、今においても現代的なのだと。
だから、それを所有しようとするヒトは、ほんのいっとき それを預かり次の歴史へと継続させていると。

本夕、読了。

クリスティーズでオークションにかかる出品物の、下は400ドル、上は4憶ドル。

クリスティーズは東京でもオークションを開催していたことがある。
バブル景気の頃。
その身の程知らずの 調子に乗った文字通りの〝泡〟景気が去った今、アートの世界は日本を相手にしていない。
クリスティーズのアジアでのオークション開催都市は、香港・シンガポール・バンコク。

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コメント

こんにちは。
私の釣りは、美意識なんて欠片もない。
少しでも沢山釣りたいと言う、なんて下品な釣りなんでしょう。
次は美意識を持って、上品な釣りを、と
言ってもきっとまた下品な釣にはなることでしょう(>_<)。

投稿: きーさん | 2020年9月27日 (日) 10:25

きーさん、こんにちは

ウネリが残っていたので、今日は近場で。
私の言う〝上品な釣り〟は、〝貧果な釣り〟と同意味(^^;

今日は小さなサカナばかりでしが、たくさん釣れました。
これもまた、下品な釣りですね(^^)

噴火湾内には、3億尾のサバと3千万尾のフクラギが入っていると思います。
真に上品な釣りができるようにウデを上げる訓練には、いい機会です。

って、下品方向に走ってしまう私ですが(^^;

投稿: KON-chan | 2020年9月27日 (日) 16:06

青果・魚介の〝競りの主役は、仲買人/バイヤー。
一枚のカレイの浜値が100円でも、スーパーに並べば200円以上に跳ね上がり、それを漁師さんは怒るように、いずれの業界でも仲買人/バイヤーの評判はすこぶる悪いようですね。

本書の著者も所詮はバイヤー、と思えば納得、納得。
本書の中には、仏像も出現しており、きっとお値段がついていることでしょうね。
偉そうなことは言えませんが、お魚さんのお味とお値段の関係はきっぱりと仲買人は答えますが、せめても’仏性とお金’の関係を本書で論じなければ、この山口桂さんとやらの、肩書にある、なにがし大学客員教授の名が泣きますね。

マンハッタンだの、ロックフェラービルだの、クリスティーズだのと顕示的に、そしてご自分の実績をご披露するのはかまいませんが、美があって醜があり、聖があって俗ですが、例えば第五章/審美眼の磨き方とありますが、美、醜、聖、俗のうち、自分に何が欠けているのかさえ分からないこの著者に、語る資格ははたして・・・如何なものでしょうか。

ご無沙汰しております。

投稿: 3 | 2020年9月29日 (火) 22:22

与作さん、こんにちは

ご無沙汰していました。

本書をお読みになりましたか。

運慶の木造大日如来坐像ですね。
本書内には書かれていませんが、三越を経由して真如苑が落札しています。
1400万ドル強。

オークションですから、値を付けるのは買いたい人。
クリスティーズはただの仲介者。
オークション会場をセットしているだけに過ぎません。
それだけに過ぎませんが、人は誰でも自分自身にはどうあっても正・陽・貴を見付けたいもの。
著者は、〝カネ〟のことだけを書いては自分を辱める程度のことは分かっていて、〝審美眼の磨き方〟という章をたてたのでしょう。
その程度の意識もない者のほうが、世の過半です(^^;

投稿: KON-chan | 2020年9月30日 (水) 23:56

本書は出版後、すぐに購入、ついでに『真贋力/有馬らいてい』著&『美を見極める力/白洲信哉』著もあわせて購入しました。
まさしく醜、俗の世界に入り浸っている私如きが、寝っ転がって、鼻くそほじくりながら読むのにはこの二冊もまたぴったりの本ですが・・・。
もし、この二冊にアドバイスがあるとすれば、’読まないこと’です。

愚ブログと違って、おのれの深奥を晒さずに語る貴ブログをいつも楽しく、興味を持って拝見させて頂いております。

貴殿の或いは、一生のメインテーマであるかもしれない、apex & horizon(海)、そして行間にもdriftingさせる俯瞰力は、さすがですね。

余計なことを書いてしまいました、ご一読の後、削除の程。

投稿: 4 | 2020年10月 2日 (金) 21:49

与作さん、それは買いかぶりというもの。
無い無い無い。
晒さずにいる深奥なんて、私には無い無い無い。
私は、厚みのない薄っぺらな人間。
裏と表はありますが、側面はありません。
表面だけ。
体積がありません(^^;

そんな私でも、一生のテーマがapex & horizonではさすがにマズいだろうくらいの自覚はあります。
自覚はあっても、甲羅に似せて穴を掘るカニとは私のこと。
甲羅の2%でも3%でも大きな穴を掘りたい気持ちは今でもあるのですが、相変わらず昨日と同じ今日の私(^^;

投稿: KON-chan | 2020年10月 2日 (金) 23:41

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