『トムラウシ山遭難はなぜ起きたか』を読む
トムラウシ山(トムラウシやま)は、大雪山系中の山(2141メートル)。
トムラウシ山遭難とは、2009年7月16日に起きた事故。
(読み始めてから気付いたのだが、今日が12回忌に当たる)
パーティの構成は、
男性ガイド3名
男性ツアー登山者5名
女性ツアー登山者10名
内、
男性ガイド1名
男性ツアー登山者1名
女性ツアー登山者6名
が、低体温症(疲労凍死)を死因として遭難死したもの。
こんな喫茶店で読み始め。
雨。
そして強風の中の登山。
当日の最低気温は3℃以下。(注)
西風は20メートル以上だったものと推定されている。
遭難のあらましを、フリーライターが
当日の現地の気象の推測を、気象学者が
低体温症についてを、医師が
登山の運動生理学を、生理学者が
それぞれ1章を受け持って執筆している。
いずれも、当該分野の専門家で、かつ登山経験豊かなヒトたち。
出発しない、あるいは引き返すという判断をする機会はあった。
しかし、ガイドはそれをしなかった。
と、非難するのは簡単。
死者の中には、ザックの中に防寒着を残したままの者がいる。
なぜ、着なかった。
と、非難するのは簡単。
しかし、本書執筆者らはそれをしない。
本夕、読了。
副題は『低体温症事故の教訓』。
同じ環境下にいながら、分かれる生と死。
そうなった事実が調べられ、そこから引き出される教訓が書かれている。
山を歩く者は知っている。
判断が必要になった時点で、ほとんどの場合は手遅れなのを。
山を歩く者は知っている。
降雨(降雪)、強風の中でザックをおろし、雨着の下に防寒着を着ることの困難さを。
本書執筆者らが〝指摘〟はしても〝非難〟しない理由だ。
(注)
ところで、トムラウシ山よりやや北の、ほぼ同じ標高域の大雪山系を私も歩いている。
私が歩いたのは、すでに晩秋期の山で
'16年9月18日には降雪
'17年9月17日には霜、氷
を見ている。
大雪山系に、四季はない。
あるのは、春・秋・冬の三季。
コメント
私は山を歩かないので、どんな状況で判断が必要になるのか、必要になる前に備えるタイミングがいつなのか、見当もつきません。
海でも同じでしょうか。
自分で船を操るようになってから、風や波を気にするようになりました。
遊漁船の安全は船長が保証してくれるもの(と思っていた)
室蘭の海にも相当数、乗せてもらっていたのに、風や波は全く無知でした。
判断って難しいですね。
その場にいない、知りもしない外部の人に、非難される筋合いは無いと思います。海に関しても。
北海道の夏は短い。
四季ではなく、三季+夏休み、程度でしょうか。
短い夏、KON-chanが満喫しているようで何よりです。
投稿: めりー | 2020年7月17日 (金) 11:42
めりーさん、こんにちは
山も海も同じですね。
どちらも優しくて美しくて、厳しくて恐ろしくて。
山の気象は、下界より低温で強風なのが常態。
雲がまとわりついて視界は閉ざされるし、雨は降るし、雪は降るし。
それでも歩かなくては帰れないし。
でも、私にはそんな環境に身を置いて、そこまであそこまでと足を動かす時間がどうしても必要です。
てなことは口先だけの言葉。
ホントのところは理屈も何もないンです(^^;
山での判断は、進むか停滞するか下りるか。
いくつもないのに、これができないンですよねェ。
近々、山で寝ようかと思っています。
ところで、画像の喫茶店は石屋製菓が関係しています。
明日は、ラング・ド・シャのお菓子をいただきに伺います。
沖でお会いしましょう。
投稿: KON-chan | 2020年7月17日 (金) 17:20