『物理でわかるスポーツの話』を読む
自転車に乗れるようになるには、練習が必要。
自転車を考えたヒトは、練習さえすれば、2輪車が倒れずに走れるのだと分かっていたのだろうか。
それより以前の話。
歩くこと。
更にそれより以前の話。
立つこと。
練習すれば〝立つ〟ことができると、乳児の頃の我々は思っていたか。
こんな喫茶店で読み始め。
著者は、機械工学・流体工学を専攻、それをスポーツ工学へと応用してきたヒト。
100メートル走から、スキージャンプ、ヒップホップダンスまで全44競技。
ごくわずか、例えば、
逆三角関数のarctan
無次元数のレイノルズ数
断面二次モーメント
など、説明抜きで使われる高校課程の範囲を越える数学・物理があるが、基本的には高校物理の力学の範囲。
力の分解が理解できれば、読み進めるのに引っ掛かる部分はない。
ところで、ビジネス書では、〝現代日本のデジタル技術産業界にはスティーブ・ジョブズが必要〟などと実在した人物名をあげて書いてあったりする。
本書も同様。
ウサイン・ボルトの記録を越す要領、室伏広治の記録を越す要領が0.1°、1cmの単位で具体的に書かれている。
現実。
スティーブ・ジョブズ以前にも以後にもスティーブ・ジョブズは現れていない。
ウサイン・ボルトの記録を越す要領、室伏広治の記録を越す要領を具現できる人間も現れていない。
〝立つ〟ことは練習の成果。
本書に書かれていることを体現するには、練習だけではどうにもならぬ(^^;
本夕、読了。
話は全く変わる・・・
ピアノの鳴る仕組みは分かる。
ドラムと同じ。
弾かれた振動体(弦・打面)が振動して、空気を震わせる。
振動しているときの振動体は、端部が拘束されているだけ。
ヴァイオリンはどうか。
弦を弓でこする。
振動するのは弦か弓か。
弦も弓もだろう。
振動しているときの振動体を拘束するのは、端部だけではない。
弦はどのように振動しているのだろう。
練習したら、ウサイン・ボルトや室伏広治を越せると考える心理は理解できる。
しかし、ヴァイオリンを最初に作ったヒトが、練習したらヴァイオリンから音楽を鳴らせると考えていたとしたら、その心理は私の理解の外。
冒頭の話に戻る。
練習さえすれば、倒れずに自転車を走らすことができると考えた心理も私の理解の外。
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