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2019年10月 8日 (火)

『名残の山路』を読む

ヤマケイ文庫(山と渓谷社)中の1冊。
読み出してから気付いたのだが、本著者が書いた やはりヤマケイ文庫中の1冊を私はこの春に読んでいる。
拙ブログに 『旅に出る日』を読む という記事にしたのがそれ。

著者は今年93歳。
その著者の、還暦から米寿に至るまでの紀行文集。
45編。
出版はこの夏。

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こんな飯屋で読み始め。

交通公社に勤め、旅雑誌の編集者歴の長い著者。
有名な門前町・城下町を訪れる話もあるが、だが、名所・旧跡を案内する本ではない。
歴史・伝説・民話、そして自然にひかれての、極めて個人的な興味から訪れる土地を歩く話。
それらの歴史・伝説・民話・自然は、広く知られたものではない。
その土地・郷土の歴史・伝説・民話・自然。

旅先に北海道はない。
北海道は若過ぎて、歴史・伝説・民話をきっかけにして訪れるような土地ではないからだろう。
自然さえも若い。
観光客のために用意されている展望台・駐車場から先は、若い自然がヒトの侵入を拒む。

自らを〝歩く旅人〟という。
特急の止まらない駅に降り立ち、1時間、4時間。
いや、時には半日。
半日かけて歩いて着いた宿場町には、気の向く宿がない。
と、さらにその先の宿場町へ。
峠を歩き、今は使うヒトの少ない街道を歩く。

雨に降られることもあるが、降られるがまま。

本夕、読了。

再訪の地もある。
それが、30年振り、50年振り。

半世紀前に訪れた時の印象を書いているのか、ついさっき訪れた時の印象を書いているのか。
文章からは、過去のことなのか現在のことなのか判別できない。
本書の紀行文は、〝時〟の縛りから解放されている。

著者は言う。
立ち止まることが〝旅〟だと。

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