『総括せよ! さらば革命的世代』を読む
本書巻末に載せられている年表は、'65年から'72年。
その頃の、熱かった人たちの話。
熱かった人というのは、学生運動に身を投じた いわゆる全共闘世代のこと。(注)
その対極にいた警察・大学当局者、体育会系学生だった人たちも含めて取材し、現在の生活、また現在の彼らの視点で振り返る熱かった時代が語られる。
産経新聞の10年前の連載記事を加筆編集し直して単行本化したもの。
本書中では取材当時の10年前の年齢で記載されている。
取材時は多くが就業者だったが、それらのヒトたちの今現在は70歳代。
こんな喫茶店で読み始め。
大学進学率が15%の頃。
エリートだった彼らには、当初は警察当局でさえ「一網打尽にしょっぴいてしまっては、10年後、20年後の日本に大きな損失を与える」として手加減する空気があったという。
彼らの暴力・破壊・破滅的行為に眉をひそめても、考え方・言うことには共感・支持する世間の雰囲気もあったようだ。
世間の雰囲気とは、
彼らは〝優秀〟だ
ゆえに〝意識が高い〟
よって、彼らの〝思想・行動〟は正当だというもの。
今も当時の全共闘時代のままで生きる者がいる。
その活動家のアジトに踏み込んだ公安当局者は、涙が出そうになったと言う。
当局者が見たのは、エリートコースを自ら降り、革命(とまで言わずとも社会を変えること)だけを考え続けてきた男。
カップラーメンをすすっていた髪の薄くなった その男は、若かった時と変わらぬ純粋性・直線性を維持していたと。
本夕、読了。
〝総括〟とは〝評価〟のこと。
〝総括せよ〟と、他者へも自分自身へも叫んだ全共闘世代。
今、彼らは、
当時の自分自身を総括しない
当時の自分自身を肯定的に総括する
当時の自分自身を否定的に総括する
当時の自分自身を肯定的にも否定的にも総括する
当時のまま活動している
者たち。
ファッションであったと言う革命的世代。
ヘルメットをかぶってデモ隊に加わる者はモテたと言う革命的世代。
(注)
全共闘、全学連、セクト、新左翼は違う概念組織。
ここでは、本書の記述にならって、それらをひとくくりに全共闘と書く。
書名の〝革命的世代〟とは〝全共闘世代〟のこと。
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