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2019年5月10日 (金)

『やくざと介護』を読む

著者は法律学を修めたのちヤクザ社会の研究の道に入り、その研究成果で修士号・博士号を得たヒト。

本書の前半は、小山という男の、
 ・ヤクザになった過程
 ・ヤクザ社会での生活
 ・ヤクザ社会を抜けた理由
 ・現在の生活
が書かれている。
本書のタイトルの〝介護〟は、小山の現在の職業の介護士からきている。

Yakuza 
こんな飯屋で読み始め。

小山は、ドンパチ・切った張ったの武闘派ヤクザではなく、知能派ビジネスヤクザ。
工程の遅れている工事現場に、工程に遅れのない工事現場の職人を引っ張ってくる、
職安法に触れる行為だが、引っ張ってくる職人には応分のカネを渡すし、遅れていた工事現場は工程を取り戻せるしということで、誰からも恨まれない。

裏の仕事もある。
朝 電話がきて、その日のうちにクアラルンプールに飛んで、ブツの取り引き。
翌日には、もう日本にいる。
アムステルダムに行って、シノギ(ヤクザ用語で〝仕事・商売〟のこと)をこなすこともある。

オンナに好かれる。
オンナのほうから寄ってくるのだが、ヒモになってグータラ暮らすことはしない。
カネに困っているオンナには仕事の世話をする。
メシを食わせる。
優しい。

そんな彼が、背中に彫り物を入れたまま、介護の現場に身を投じる。

本夕、読了。

本書の後半は、ヤクザ社会を抜けた10名と現役ヤクザ1名の今々現在の生活の面談調査と、その調査をベースに、
 ・カタギからヤクザとなる理由
 ・ヤクザがヤクザとして生きる理由
 ・ヤクザがカタギとなる理由
が分析される。

直近7年間のデータだと、ヤクザ組織を抜けた者のカタギ社会での就職率は2%だそう。

本書の副題は、『暴力団離脱者たちの研究』。
その研究結果からも、ヤクザ組織をウマイこと泳げていた者でないと、カタギ社会でも生きていけないことが分かる。

サカナ釣りがウマイからといって、この世をウマイこと生きていけるわけではない。
けれども、この世をウマイこと生きていけない者は、サカナ釣りもヘタなのは確か。
オイラのこと(^^;

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