『大空への挑戦』を読む
風に旗がたなびく。
風が吹き下りてきて竿が鳴る。
【画像:上】
たなびくのも鳴るのも、風がウズを巻いて通るのが理由。
そんな現象を地球規模で見ることがある。
今日(14時07分)の気象衛星ひまわりの観測画像。
赤線で囲った左上すみが屋久島(1935メートル)。
そこから北北西の季節風に吹かれて、南南東にウズ状の雲が並ぶ。
黄線で囲った左上すみが八丈島(954メートル)。
そこから北北西の季節風に吹かれて、南南東にウズ状の雲が並ぶ。
【画像:下】
北北西を左に
南南東を右に
して、大雑把に描くと・・・
左の斜線を入れた丸が屋久島、あるいは八丈島。
風は左から右。
ンで、こんな感じに雲が見えないだろうか。
ウズとウズの間隔bを1とすると、
ウズとウズの幅aは0.28くらい。
ウズの列が安定すると、この値になる。
これが実験的に求められたのではなく、数学的に求められたということにヒトの知性のスゴサを感じる。
こんな喫茶店で読み始め。
上記を解析したのがセオドア・フォン・カルマン(1881年-1963年 ハンガリーのヒト)なので、カルマン渦(カルマンうず)と呼ぶ。
本書は、カルマンのメモ・口述を科学ライターが自伝の形にまとめたもの。
日本語の表題は安っぽいが、原著名は,〝The Wind and BEYOND (風、その先)〟。
読み始めたのは雪の降る前。
その100ページほどまで読み進んだところで放り投げていたのだが、この正月休みに一気読み。
本夕、読了。
原著はもっと大冊。
本書は、原著の後ろのほう数章を割愛して翻訳されたもの。
それでもなお、2段組で600ページ。
私が読み通せたのは、数字・数式が全くないから。
カルマンの1930年以降の研究拠点は米国。
本書に書かれている大部分は米国での活動のこと。
米国に渡るその前、1928年に神戸の川西航空機(二式大艇・紫電改の設計・製造会社。現、新明和工業)で、風洞の設計を指導している。
カルマンにとって、そのことは大した出来事ではなかったのだろう。
本書には、日本でのことについて記されていない。
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